Coinbaseの支援を受ける暗号資産政策団体Stand With Cryptoは、暗号資産規制への支持を選挙での強みに変えようとしている。団体は2026年11月の米中間選挙に向け、共和・民主両党の現職下院議員32人を推薦した。さらに、登録した大規模な支持者基盤を推薦候補に振り向け、暗号資産政策を実際の投票行動につなげる構えだ。78
当面の戦略的な目標は、デジタル資産関連法案を支える下院の超党派連携を維持することにある。特に、暗号資産業界が最重要法案と位置付けるCLARITY法をめぐっては、上院での対応がなお不透明だ。78
推薦の基準はCLARITY法への賛成票
今回の推薦対象には、暗号資産政策で知られる共和党のトム・エマー議員、ビル・ハイゼンガ議員、民主党のリッチー・トーレス議員、ジョシュ・ゴットハイマー議員が含まれる。競争の激しい選挙区からは、アリゾナ州の共和党フアン・シスコマニ議員や、ペンシルベニア州の共和党ブライアン・フィッツパトリック議員も名を連ねる。78
報道で示された中心的な選定基準は、候補者がCLARITY法を下院で通過させる際に賛成票を投じたかどうかだ。すでに法案を支持した現職議員を推薦することで、上院が法案を修正したり、審議を遅らせたり、最終的に下院へ差し戻したりした場合に必要となる下院の賛成票を守る狙いがある。78
CLARITY法は、デジタル資産の市場構造や規制上の責任範囲を明確にすることを目指す超党派の法案だ。上院では、法案の審議入りを進めるためのクロージャー動議が8月8日に提出されており、暗号資産業界が上院を当面の立法上のボトルネックと見ていることがうかがえる。2
この取り組みは、特定政党だけを対象にしたものではない。エマー議員とトーレス議員は、消費者資金を預からないデジタル資産の開発者やサービス提供者を、送金業者として扱わないことを明確にする別の超党派法案も共同で主導している。1
候補者への小切手より「有権者の組織化」
Stand With Cryptoの2026年の方針は、2024年に米国で登録した300万人超の支持者を基盤としている。団体は、暗号資産を「投票先を左右する争点」として認識させ、候補者の政策や投票記録を知らせ、支持者を投票所へ動員することを目指している。候補者への直接的な選挙資金の支出だけに依存せず、明確な政治的構成員として存在感を示すモデルだ。78
団体のウェブサイトでは、政治家の暗号資産に関する発言や投票を追跡し、支持者に上院議員への連絡を呼びかけている。こうした候補者評価や有権者への連絡ツールは、資金提供よりも、政策情報の拡散と議員への圧力を重視する戦略を支えている。56
なお、Stand With Cryptoが上院議員を推薦する具体的な日程は、現時点で示された資料からは確認できない。報道では、上院向けの推薦を後日発表する計画とされているが、正確な発表時期については裏付けが不足している。78
暗号資産業界の政治的影響力はどこまで広がるか
暗号資産業界は、2024年の米国選挙でおよそ1億7000万ドルを支出したとされる。また、2025年7月にはステーブルコインを規制するGENIUS法が成立し、2026年の中間選挙に向けては約2億ドルが拠出されるとの報道もある。選挙支出、スーパーPAC、議員への直接的な働きかけ、そして超党派の立法連携を組み合わせた、継続的なワシントンでの政治活動が形成されつつある。3478
2026年の支出計画でFairshakeが中心的な役割を担うことは、Stand With Cryptoによる草の根型の有権者動員と、独立支出を行う政治資金ネットワークを組み合わせる動きを示している。議員に対するメッセージは明確だ。暗号資産政策で業界に協力すれば、組織化された支持を得られる一方、反対すれば大規模な対抗資金に直面する可能性がある。78
ただし、選挙資金と法案成立の因果関係は慎重に見る必要がある。GENIUS法が成立したのは2025年7月18日だが、利用可能な資料だけでは、選挙支出だけが成立の原因だったとは証明できない。確認できるのは、業界が政治活動への投資を強める時期と、連邦レベルで初めて大きなステーブルコイン法が成立した時期が重なっているという点だ。34