Microsoftが提供を始めた「Microsoft Recommended Search Settings」は、Windows 11の設定画面に組み込まれた標準機能ではありません。約22.2MBの実行ファイル MicrosoftSettings.exe をユーザーが別途ダウンロードして起動し、インストール済みブラウザーでBingを使うよう促す独立したユーティリティです。Windows UpdateのパッケージやMicrosoft Storeアプリとして配布されているものではありません。127
この点は重要です。現時点の報道が示しているのは、ユーザーが自分で入手して実行する任意のセットアップであり、Windows 11の更新によって勝手に導入される変更ではありません。ただし、システム機能のように見える名称や、Bingへの切り替えが初期状態で有効になっている設計から、検索エンジンを同梱ソフトのように変更する「アドウェア的」な手法だと批判する声が出ています。
このツールは何をするのか
セットアップ画面では、Bingを既定の検索エンジンに設定することを推奨します。報道やテストによると、この項目は最初から「Yes」になっており、内容を確認せず推奨設定のまま進めると、Bingへの変更に同意する流れになります。47
さらに、ブラウザーに Microsoft Bing Homepage & Search 拡張機能を追加するよう促されます。この拡張機能は、単に一度だけBingを開くものではなく、Bingを既定の検索エンジンやホームページに設定することを目的としています。8
設定完了後には、Microsoftのポイントプログラム「Microsoft Rewards」の案内ページが開くと報告されています。検索エンジンの変更と報酬プログラムへの誘導が一続きになっている点も、批判の対象です。3412
Chrome、Firefox、Braveではどう動く?
報道と実機テストでは、Microsoft Edge、Google Chrome、Mozilla Firefoxが対象となり、Braveでも動作が確認されています。BraveはChromiumをベースにしているため、拡張機能を使う流れはFirefoxよりChromeに近いと考えられます。24
大まかな流れは次のとおりです。
- ユーザーが
MicrosoftSettings.exe をダウンロードして起動する。
- Bingを既定の検索エンジンにする推奨画面が表示され、選択肢は初期状態で有効になっていると報告されている。
- ユーザーが設定を受け入れるか、拒否する。
- 対象ブラウザーでBing拡張機能のインストールや、関連する設定変更の確認が表示される。
- 拡張機能によって、既定の検索エンジンやホームページなどの検索関連設定が変更される場合がある。
- セットアップ完了後、Microsoft Rewardsのページが開くと報告されている。
表示される画面や確認方法は、ブラウザーや拡張機能のバージョンによって異なる可能性があります。Chrome、Firefox、Braveでまったく同じ権限ダイアログが表示されると断定できる情報はありません。
求められる権限と変更される設定
注意すべきなのは、この拡張機能がBingを表示するだけでなく、ブラウザーの動作そのものを変更する目的で設計されている点です。Chromeウェブストアの説明では、Bingを既定のホームページおよび検索エンジンに設定するとされています。
Chrome拡張機能は、必要な機能に応じた権限を申告し、関連するアクセスについて警告を表示します。Googleの説明では、ユーザーは警告を確認したうえで許可または拒否を選択でき、拒否すれば拡張機能にそのアクセス権は与えられません。
テストでは、Microsoftの拡張機能について「ウェブサイト上のデータを読み取り、変更できる」といった趣旨のChrome警告が表示されたと報告されています。単純な検索エンジン変更より広い権限に見えるため、Windows側の説明だけで判断せず、各ブラウザーが表示する警告文を確認することが大切です。7
ユーザーが判断する場面は、主に2つあります。
- Windows側の推奨設定:Bingを既定の検索エンジンにする設定を進めるかどうか。Bingの項目は初期状態で有効になっていると報告されています。
- ブラウザー側の拡張機能の許可:Bing拡張機能を追加し、Chrome、Firefox、Brave、Edgeなどが表示する権限を付与するかどうか。
どちらの段階でも拒否できます。報道からは、インストーラーがすべてのブラウザーの確認手続きを完全に回避し、何も知らせず変更することまでは確認されていません。257
なぜ「アドウェアのようだ」と批判されるのか
批判の中心は、Bingそのものではなく、設定画面の見せ方と誘導の組み合わせです。特に次の点が指摘されています。
- Windowsの公式ツールらしく見えるシステム風の名称
- Bingへの切り替えが初期状態で選択されていること
- ホームページや検索エンジンを変更する拡張機能の導入
- 設定後にMicrosoft Rewardsへ誘導されること
こうした要素が、検索エンジンを他のソフトに同梱して変更させる手法に似ているため、一部の報道では「アドウェア的」と表現されています。ただし、これは製品設計に対する批判であり、提供された報道だけから実行ファイルが正体不明のマルウェアだと結論づける根拠にはなりません。確認されている範囲では、Microsoftのダウンロードサーバーから別途入手し、ユーザーが起動して画面を進める仕組みです。1235
「約500万人」は新しいWindowsツールの利用者数ではない
約500万人という数字は、既存の Microsoft Bing Homepage & Search Chrome拡張機能について報じられた利用者数です。この拡張機能は、Bingを既定のホームページと検索エンジンに設定するものとしてChromeウェブストアで案内されています。48
したがって、この数字をMicrosoft Recommended Search Settingsの導入者数と混同してはいけません。Chromeウェブストアから通常の手順で追加された拡張機能の利用者数と、複数のインストール済みブラウザーにBingを推奨する別個のWindows実行ファイルは、別のものです。約500万人が新しいユーティリティをインストールしたことを示す数字ではありません。
自動的にインストールされるのか
提供された報道に基づく限り、自動インストールではありません。MicrosoftSettings.exe はMicrosoftの公式ダウンロードサーバー上にある独立した実行ファイルで、Windows UpdateやMicrosoft Store経由では配布されていません。ユーザーが自分で入手し、実行する必要があります。127
今後、Microsoftが別の配布経路を使う可能性までは否定できません。しかし、現時点で報じられている形は任意のダウンロードです。すべてのWindows 11環境で、ユーザー操作なしにブラウザーの検索設定を変更するアップデートとは区別してください。
Bingを避けたい、または元に戻したい場合
Bingを使いたくないなら、最も簡単な対策は MicrosoftSettings.exe をダウンロードも実行もしないことです。すでに起動している場合は、Windows側の推奨設定と、ブラウザー側の拡張機能インストール要求の両方を拒否します。
すでに拡張機能や設定が追加されている場合は、次の手順で確認できます。
- 影響を受けた各ブラウザーの「拡張機能」または「アドオン」画面を開く。
- 不要であれば Microsoft Bing Homepage & Search を削除する。
- ブラウザーの検索設定に戻り、使いたい検索エンジンを既定に指定する。
- ホームページ、起動時のページ、新しいタブの設定も確認し、必要に応じて元に戻す。
- Windowsの「インストールされているアプリ」にツールが残っていれば、Microsoft Recommended Search Settingsをアンインストールする。
Firefoxでは、設定の「検索」から検索エンジンや既定の検索プロバイダーを管理できます。17
結論として、Microsoft Recommended Search Settingsは必須のWindowsコンポーネントではなく、Bingを広めるための任意のユーティリティです。Bingの選択肢が初期状態で有効になっていると報告され、ブラウザー側では検索設定を変更できる拡張機能の権限が求められるため、各画面を「おすすめ設定だから」と流さず、一つずつ内容を確認して判断するのが安全です。