これに対しバラック氏は、米国がイスラエルから提供された情報を検討したものの、トルコ軍の差し迫った展開を裏付ける証拠は確認できなかったと述べた。つまり、イスラエルが持つ情報判断と、米情報機関の分析が食い違っている。AE
バラック氏が特に問題視したのは、イスラエル軍機の飛行と攻撃目的について、トルコ側に事前の警告がなかった点だ。トルコ軍は、イスラエル軍機が自国方向へ向かっていることを把握しながら、それがアブ・アルドゥフールへの攻撃だとは知らされていなかったという。AC
そのため、トルコ軍が自国への攻撃だと誤認して戦闘機を緊急発進させる可能性があった。トルコは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であり、誤算によってイスラエル軍とトルコ軍、さらにシリア軍を巻き込む直接的な軍事衝突へ急速に発展しかねない状況だった。AC
カッツ氏によれば、イスラエルはトルコが基地でイスラエルの安全を脅かす活動を計画していることを示す「明確な情報」を入手し、その情報を米国の関係当局に共有していた。また、シリア側には攻撃前に繰り返し警告していたという。ET
この問題の核心は、情報評価をめぐる直接的な対立にある。バラック氏は、米国の情報機関がトルコ軍展開の主張を裏付けなかったと述べる一方、カッツ氏は、イスラエルの情報は明確で米側にも伝達済みだったと主張している。AE
これは、3国の対立が解消されたことを意味しない。むしろ、表向きには互いを非難しながらも、ISISの再台頭を抑え、軍事活動の誤認による衝突を避けるという現実的な共通利益については、米国を介した実務的な協力が続いていることを示している。EC
アブ・アルドゥフール空爆が浮き彫りにしたのは、地域の安全保障が「協力か対立か」の二択ではないという現実だ。対話の窓口が存在する一方で、警告や情報共有の行き違いが、NATO加盟国を含む当事国同士の危険な誤算を招く状況も続いている。