ハードウェア市場全体を見ると、PC業界のシグナルはより厳しい。7月のノートPCメーカー向けODM生産は前年同月比24%減となり、モルガン・スタンレーの予想も4%下回ったと報じられている。一方、2026年第2四半期の世界PC出荷台数については、Omdiaが3.6%減、IDCが4.9%減と推計しており、数字の違いは市場の定義や計測方法の違いによる。
つまり、今回のApp Storeの減速は、Apple製品全体への需要がPC市場と同じように失われていることを示すというより、規制、収益化、モバイルゲーム市場の問題と見る方が直接的だ。
Appleの直近決算は、サービス事業の弱さだけでは語れない。2026会計年度第3四半期の売上高は1,094億ドルで、前年同期比16%増加した。iPhone売上高も543億ドルとなり、22%伸びている。
モルガン・スタンレーはiPhoneの生産計画を5,400万台で据え置き、iPadの生産計画を100万台引き下げるにとどめた。これは、Apple全体で大幅な需要リセットが起きているというより、製品ごとに価格や需要への感応度が異なることを示す動きだ。
Apple株は、米国金利の上昇や大型テクノロジー株全体の売りに加え、1.5%超下落する場面があった。ただし、この値動きをApp Storeの追跡データだけに帰することはできない。
一方で、投資家がサービス事業を注視する理由は明確だ。サービス収入は継続性が高く、利益率も高いとみられるため、成長率が少し鈍化しただけでも、Appleの将来利益に対する見方が変わりやすい。
今回のデータが示すAppleの短期的なリスクは、iPhoneの販売台数よりも、サービス事業、とりわけApp Storeの収益化に移っている。
App Store純収入の0.6%減は、Apple全体の需要崩壊を意味する数字ではない。しかし、4年ぶりの前年割れという節目であり、規制変更やゲーム市場の減速、為替の影響が重なるなかで、サービス事業の成長モデルに変化が生じている可能性を示す。PC市場の低迷もエレクトロニクス需要への警戒を強めるが、現時点の生産・出荷データからは、iPhone需要が同様に縮小しているとは確認できない。