一方、今回の拘束がBinanceの従業員に不安を与えたことは報じられています。ただし、UAE警察が捜査を終えたのか、別の容疑者を特定したのか、あるいはBinance自体の不正を主張しているのかは、公になっていません。
今回の問題を理解するうえで、Binanceが法執行機関からの情報照会を扱う方法を変更したことも重要です。
司法共助とは、ある国の捜査機関が別の国に証拠や口座情報などの提供を正式に要請する仕組みです。Binanceは、UAEで規制を受ける企業としてこの手続きが適切だと説明しています。
これに対し、欧州の捜査当局は、照会がUAE経由になることで取引所の記録へのアクセスが大幅に遅れ、詐欺、投資詐欺、マネーロンダリングなど、迅速な対応が必要な捜査に支障が出る可能性があると指摘しています。
Binanceは、今回のUAEでの対応だけでなく、過去の米国当局との刑事案件でも厳しい監視を受けてきました。
米当局はこの案件について、故意による銀行秘密法違反が含まれていたと説明しています。また米財務省によると、Binance.comでは2017年8月から2022年10月までの間に、米国人と制裁対象地域の利用者、または取引を禁じられた人物との間で、167万件超の暗号資産取引が処理されていました。
そのため、今回の拘束だけでBinanceの規制違反や同社に対する刑事事件が確定したと見ることはできません。しかし、現地でライセンスを取得し、戦略的な存在感を高めている企業であっても、UAE警察が従業員に直接対応できることを示す出来事ではあります。