同社はまた、2025~2027年の3年間に累計FCFの50%超を株主に還元する方針へと目標を引き上げました。還元手段には自社株買い・消却と現金配当が含まれ、特別配当を組み合わせる可能性もあります。規模や方法の詳細は、第3四半期決算と同時期に示される見通しです。
両社が大規模な還元策を打ち出せる背景には、AIデータセンター向けメモリー需要の急拡大があります。特に、AI処理に使われるHBM(高帯域幅メモリー)の需要が、2026年前半の利益を押し上げました。
Samsungでは第2四半期に半導体部門の営業利益が前年同期から250倍超に急増し、89.2兆ウォンに達しました。 SKハイニックスも第2四半期に売上高79.3兆ウォン、営業利益60.5兆ウォンという過去最高水準の業績を記録しています。
現金が積み上がる一方、利益を株主に十分還元していないとの投資家の不満も強まっていました。SKハイニックスの純現金は約69兆ウォンに達したと報じられています。さらに、米国のメモリーメーカーMicronが余剰現金の100%を還元する方針を示したことで、メモリー業界では資本還元をめぐる比較対象も厳しくなりました。
株主還元策をめぐる発表と期待は、韓国市場の急反発を引き起こしました。8月20日、SKハイニックス株は12.73%高の169万1,000ウォン、Samsung Electronics株は9.49%高の27万1,000ウォンで取引を終えました。
韓国総合株価指数(KOSPI)は前日比5.89%高の6,852.58で引けました。SKハイニックスの自社株買い、Samsungの還元策への期待、外国人投資家の買い戻しに加え、米国の長期国債利回りが低下して投資家心理が改善したことも支援材料となりました。
米国債利回りの上昇は、AIデータセンター建設や半導体設備投資の資金調達コストを高める可能性があります。また、AIインフラ投資が鈍化すれば、メモリー価格や半導体企業の利益見通しが悪化するリスクもあります。実際、市場では米長期金利とAI投資の減速が、株価の次の方向を左右する重要な変数とみられています。
要点は、両社の計画の確度に違いがあることです。SKハイニックスの40兆ウォンの自社株買い・消却は、取締役会の承認を得た期限付きの正式な計画です。これに対し、Samsungの100兆ウォン超の還元策は当時、報道段階にとどまっていました。
そのため、株価反発のきっかけにはなったものの、AIブームの持続性や半導体株の割高・割安評価をめぐる問題まで解消したわけではありません。今後はSamsungが正式にどの規模の還元策を示すのか、そしてSKハイニックスが配当を含めてどのような追加策を発表するのかが焦点になります。