取引所や集計時間、データ提供元によって価格や上昇率には差がある。そのため、これらの数字は同じ時点を完全に切り取った確定値というより、各報道時点の市場スナップショットとして見るのが適切だ。
相場上昇の初動に続き、下落を見込んでいたトレーダーのポジションが一斉に崩れた。
レバレッジをかけた空売り、つまりショートポジションでは、価格が上昇して証拠金を維持できなくなると、取引所がポジションを強制的に決済する。その際、ショートの決済は買い注文になるため、上昇局面でさらなる買い圧力を生む。
CoinGlassのデータを引用した報道では、24時間の暗号資産の清算額は約30億ドルに達し、そのうち約27億4,000万ドルがショートポジションだった。影響を受けたトレーダーは17万人超とされる。
また、Hyperliquidでは約4,880万ドル相当のBTC-USDポジションが、単一の清算として最大だったと報じられた。 これは、現物市場に同規模の新規資金が流入しなくても、売り方の強制的な買い戻しだけで価格が大きく押し上げられることを示している。
HyperliquidのトークンであるHYPEは、約19%上昇して72ドルを上回ったと報じられている。ドナルド・トランプ大統領が、同プラットフォームを合法かつ規制に準拠した形で米国に展開する可能性に前向きな発言をしたことが材料視された。
ただし、発言だけがHYPEの上昇を引き起こしたと断定することはできない。HYPEも市場全体のリスクオンとデリバティブ市場の踏み上げに巻き込まれていたためだ。最も慎重な見方をすれば、政策・規制関連のニュースが、すでに始まっていたマクロ主導の上昇を後押ししたと考えられる。
大幅な1日上昇は、下落に賭けるレバレッジを市場から取り除くことがある。しかし、それが持続的な現物需要の発生を意味するとは限らない。今回の相場をめぐる慎重論も、まさにこの点にあった。
Glassnode関連の報道では、ビットコインは二つの重要なコストベースを下回っているとされた。一つは短期保有者のコストベースで約6万8,500ドル、もう一つはTrue Market Meanで約7万5,800ドルだ。これらを明確に回復し、上方で定着するまでは、市場はなお「降伏」局面にあるとの分析だった。
同じ分析では、90日間の実現損益比率が0.75とされている。売り手の疲弊が進んだ局面で見られる歴史的な0.5未満の水準にはまだ達していないため、長期的な反転を確信できるほど売り圧力が枯れたとは言い切れない。
米国の現物需要が弱いことを示す材料として、Coinbase Premiumがマイナスだったとの報道もある。ただし、この数値は提供された一次資料で独立に確認できていないため、米国の買い需要についての決定的な判断材料ではなく、参考情報として扱う必要がある。
8月19日の上昇は、暗号資産市場が国債市場の流動性、政策ニュース、そしてレバレッジの偏りに非常に敏感であることを示した。一方で、この1日の動きだけでは、持続的な上昇トレンド入りまでは確認できない。
今後の重要な確認ポイントは次の通りだ。
結論は、強気論よりもやや限定的だ。米財務省の買い戻し拡大がリスクオンの再評価を促し、売りに偏っていたポジションが上昇を大幅に増幅した。ビットコインが7万ドル目前まで戻ったことは、テクニカル面でも投資家心理の面でも重要な出来事だったが、持続的な相場転換を確認するには、今回の踏み上げ後も上昇が続き、現物需要が明確に強まる必要がある。