また、上顎側切歯が円錐歯の場合、上顎犬歯の埋伏やその他の歯の萌出異常が生じる確率が高い可能性も示されています。 側切歯の先天欠如を対象とした複数の研究をまとめた近年のレビューでも、側切歯欠如は上顎犬歯の萌出障害と関連し、オッズ比は3.88と報告されています。
この関連を説明する主な考え方は、次の2つです。
側切歯の先天欠如、円錐歯、矮小歯、犬歯の位置異常は、同じ歯胚周辺の発生プログラムに関わる異常が、程度の違いとして現れたものかもしれません。実際、上顎側切歯の先天欠如では、反対側の側切歯が矮小化することがあり、矮小歯は同じ発生異常の軽い表現型である可能性が示されています。
正常な位置にあり、十分な形態を持つ上顎側切歯の歯根は、萌出中の犬歯に対して局所的な誘導役を担うと考えられています。側切歯が欠如している、非常に小さい、あるいは形態異常を伴う場合、この誘導が不十分となり、特に口蓋側への偏位や埋伏につながる可能性があります。
ただし、これは生物学的に妥当な仮説であって、すべての症例で作用する単一の原因と証明されたわけではありません。
臨床上、microdontia(矮小歯)とagenesis(先天欠如)は同じものとして扱わないことが重要です。
したがって、Class III患者でU2が小さく見える場合には、単なるサイズの問題なのか、円錐歯なのか、部分的な発育異常なのか、あるいは反対側の先天欠如を伴うのかを区別して評価する必要があります。
そのため、Class IIIで埋伏が多く見えるとしても、実際には次のような要因が重なっている可能性があります。
このため、Class IIIという咬合型だけで犬歯埋伏のリスクを決めるのは適切ではありません。
Class III患者に次の所見があれば、上顎犬歯の異所萌出・埋伏リスクを高めに見積もるのが実用的です。
まずは適切な時期にパノラマX線写真で犬歯の位置を確認します。犬歯と隣接歯根の三次元的位置、歯根吸収のリスク、外科的開窓や牽引の計画が不明確で、画像結果が治療方針を変える場合には、限定視野CBCTを検討します。CBCTはパノラマ画像よりも犬歯の位置評価に優れる一方、被曝を伴うため、管理に影響する場合に限定して用いるのが原則です。
要するに、Class IIIだから犬歯が埋伏するというより、Class III患者に側切歯の発育異常や局所的な萌出環境の問題が加わったときに注意が必要、というのが現在のエビデンスに最も近い臨床的理解です。