このうちFold 8は約70%を占めたという。Samsungはまた、Fold 8とFold 8 Ultraの予約が一部の比較で前世代を70%上回り、欧州での新Zシリーズの予約も前年世代を20%以上上回ったとしている。ただし、韓国、欧州、前世代との比較が混在しているため、これらを単一の世界販売統計として扱うことはできない。
価格を考えれば、この数字は注目に値する。米国での価格はFold 8が1,899.99ドル、Fold 8 Ultraが2,099.99ドル、Flip 8が1,199.99ドル。Reutersは、メモリーチップのコスト上昇を背景に、Samsungが一部の新型折りたたみモデルを約100ドル値上げしたと報じている。
ただし、記録的な予約数は、そのまま大衆化を意味しない。韓国での好調な予約実績だけで、平均的なスマートフォン購入者にとって手頃になったとは言えないからだ。示しているのは、ポケットに入る大画面という明確な体験に対し、高額でも支払う顧客層が十分に存在するということだ。
Fold 8の設計が大きく進化した一方で、カメラには意外な弱点がある。専用の望遠カメラを搭載していないため、遠くの被写体を光学的に拡大する能力では、一部の競合する高級スマートフォンやSamsungのUltraモデルに及ばない。
動画の黒帯表示も完全には解消されない。4:3画面によって問題は軽減されるが、すべての映像を画面いっぱいに表示するには、映像の一部を切り取るか、黒帯を残す必要がある。
そして最大の壁が価格だ。Samsungは折りたたみ端末をより実用的にしたが、安価にはしていない。Fold 8は、折りたたみスマホの「使いにくさ」を減らした製品であって、通常のスマートフォンを市場全体で置き換える製品ではない。
調査会社や業界報道が示す方向性はおおむね一致している。世界の折りたたみスマートフォン出荷台数は2026年に約20%増える一方、スマートフォン市場全体は縮小する見通しだ。成長率やAppleの将来的なシェアについて予測には幅があるものの、ブック型モデルと高価格帯端末の存在感が強まるという見方は共通している。
これは、折りたたみスマホが安くならなくても市場を拡大できることを意味する。ポケットに入る端末でより大きな画面を使いたい人が、価格を受け入れればよいからだ。Counterpoint Researchは、ブック型モデルの構成比が高まり、超高級価格帯の端末が増えることで、2026年の折りたたみスマホの平均卸売価格は上昇すると予測している。
SamsungがFold 8を追加で100万台生産するよう発注したとの報道もある。ただし、これはサプライチェーンに関する報告であり、最終的な販売台数を確認するものではない。追加生産は予想を上回る需要のサインにはなり得るが、実際に消費者へ売り切れた台数を証明するものではない。
Appleが折りたたみ式iPhoneを検討、または準備しているとの報道は相次いでいるが、提供された報道では製品仕様、発売時期、価格は確認されていない。ReutersはSamsungがAppleの参入を見据えていると報じ、市場予測もAppleの参入可能性をカテゴリー成長の大きな要因として扱っている。
Appleが参入すれば、折りたたみスマホをより身近な製品として認識する消費者が増える可能性がある。その一方で、Samsungはカメラ、耐久性、ソフトウェア、エコシステム、価格をあらためて比較されることになる。
Fold 8におけるSamsungの答えは、形状そのものを価値にすることだ。4:3の内側画面は単なる話題作りではなく、読書や作業、エンタメで実用性がある。パスポートのような本体は、閉じた状態でも従来モデルとは異なる狙いが伝わりやすい。さらに、目立たなくなった折り目は長年の不満を和らげる。
ただし、望遠カメラの不在と約1,900ドルの価格は、競合他社が攻め込める余地として残っている。
Galaxy Z Fold 8は、Samsungにとって最も説得力のあるブック型折りたたみスマホの一つだろう。毎日目にする画面の幅が広がり、仕事や読書、動画視聴がしやすくなった。折り目も大幅に控えめになり、初期予約では新しい形状に対する強い需要が確認された。
その意味でFold 8の重要性は、誰もが買える安価な折りたたみスマホを実現したことではない。高級端末として、折りたたみ機構そのものに納得できる価値を持たせたことにある。
価格が下がり、望遠カメラのような旗艦スマートフォンとしての妥協点が解消されるまでは、Fold 8はあくまで高級スマートフォンだ。それでも、折りたたみスマホを「珍しいが使いにくい端末」から「形状に意味のある端末」へ近づけたという点で、主流化に向けた重要な一歩と言える。