あらかじめ定められた中間解析で、併用療法は主要評価項目のRFSと、主要な副次評価項目のDMFSをともに達成した。つまり、併用群ではキイトルーダ単独群と比べ、悪性黒色腫の再発までの期間が長く、肺や肝臓など遠隔臓器への転移なしに過ごせる期間も長かったことになる。
インティスメラン・オートジーンは、患者ごとの腫瘍に見られる変異をもとに設計される。腫瘍固有の異常な目印である「ネオアンチゲン」を免疫系に認識させるためのmRNA情報を投与し、がん細胞への攻撃を促すことを狙う治療だ。現時点では承認済みの「がんワクチン」ではなく、あくまで治験中の医薬品である。
両社や業界報道によると、今回の発表は、個別化ネオアンチゲン療法として初めて、またmRNAベースのがん治療としても初めての肯定的な第3相試験結果となった。さらに、切除後の悪性黒色腫において、標準的な免疫療法であるキイトルーダ単独に対する臨床的な上乗せ効果を第3相試験で示した初の例でもある。
重要なのは、比較対象が偽薬ではなく、すでに有効性が確立しているキイトルーダ単独だった点だ。今回の結果は、目に見える腫瘍を手術で取り除いた後でも、個別化mRNA治療を加えることで既存の免疫療法に上乗せ効果が得られる可能性を示している。
一方で、この治療が手術やキイトルーダに取って代わることを示したわけではない。
発表を受け、Modernaの株価は取引時間中に一時ほぼ2倍となったとの報道があり、Merckの株価もおよそ9~10%上昇した。市場や時点によって変動幅は異なる。
投資家が注目したのは、悪性黒色腫の試験結果だけではない。これまで個別化がん治療の有力候補でありながら、決定的な第3相試験での成功を示せていなかったModernaのがん領域戦略に、臨床面で大きな前進があったと受け止められたためだ。William Blairはその後、Modernaの投資判断を「Market Perform」から「Outperform」へ引き上げた。ただし、アナリストの見方が一様に強気になったわけではない。
株価の反応は、商業的成功が確定したことを意味しない。今回の発表だけでは、治療の費用対効果や市場規模を完全に評価できず、良好なトップライン結果が規制当局の承認や広範な普及を保証するわけでもない。
今回の第3相試験は、KEYNOTE-942/mRNA-4157-P201第2b相試験で得られた悪性黒色腫のデータを踏まえたものだ。計画された追跡期間の中央値60.3カ月時点で、キイトルーダ単独と比べ、併用療法では再発または死亡のリスクが49%低く、遠隔転移または死亡のリスクが59%低かった。報告されたハザード比は、RFSで0.51、DMFSで0.411だった。
この結果は今回の発表を理解するうえで参考になるが、INTerpath-001の完全なデータの代わりにはならない。第3相試験は規模が大きく、ステージIIB~IVというより広い患者集団で、治療効果を再現性のある形で示せるかを検証する決定的な試験だからだ。
今回の結果は、あらかじめ計画された中間解析に基づく。MerckとModernaは、全生存期間を含む他の評価項目を引き続き調べるとしており、効果が確認された時点で試験全体を終えたという意味ではない。したがって、現時点では「中間解析で有効性が示された」と表現するのが適切だ。
両社は、今回の更新で新たな安全性シグナルは確認されなかったとも説明した。これは安心材料ではあるものの、有害事象の発生率、治療中止率、両群の詳細な安全性比較が公表されたわけではない。治療のリスクと利益を独立に評価するには、より詳しいデータが必要になる。
今回の成果が実際の治療をどこまで変えるかは、今後のデータと運用面の課題にかかっている。
INTerpath-001は、個別化mRNAがん治療にとって大きな検証となった。インティスメラン・オートジーンをキイトルーダに加えることで、完全切除後の高リスク悪性黒色腫患者におけるRFSとDMFSの双方が改善したためだ。この成果が、Modernaのがん領域に対する期待を高め、株価を大きく押し上げた背景にある。
ただし、現段階ではトップラインの中間結果にとどまる。効果の大きさ、詳細な安全性、全生存期間、規制当局の判断、そして患者ごとに異なる治療を大規模かつ現実的なコストで製造できるかどうかが、この「画期的な一歩」を実際に利用できる治療へとつなげられるかを左右する。