米国の主要株価指数は、直近の最高値からさらに後退しました。
長期金利の上昇は、AI関連株に主に2つの経路で影響します。
1つ目は、将来利益の現在価値を計算する際の割引率が上がることです。数年先に得られる利益は、比較的安全な国債から得られる利回りが高くなるほど、現在の価値が低く見積もられます。遠い将来まで高成長を続けることを前提に評価されている企業ほど、影響を受けやすくなります。
2つ目は、借り入れコストの上昇です。AIインフラには、データセンターの建設や計算能力の増強など、先行して大規模な資金を投じる必要があります。債券や融資に頼る企業にとって金利上昇は資金調達費用を増やし、プロジェクトの期待収益率を低下させます。結果として、投資家が将来の成長に高い株価を支払う意欲も弱まりやすくなります。
金利をめぐる警戒感に拍車をかけたのが地政学リスクです。イラン情勢をめぐり、早期の事態収束への期待が後退すると、原油価格が上昇しました。
原油高は物価上昇圧力を強め、インフレが長引けば金利が高止まりするとの見方につながります。これは、高いバリュエーションで取引されているテクノロジー株にとって厳しい組み合わせです。将来利益に求められる利回りのハードルが上がる一方、AIサービスの収益を生むための設備投資コストにも不確実性が増すからです。
売りは世界の半導体サプライチェーンを通じてアジア市場にも広がりました。韓国のKOSPIは5.2%下落し、サムスン電子は6.9%、SKハイニックスは7.9%下落。日本の日経平均株価は2.6%、香港のハンセン指数は0.4%、上海総合指数は1.5%下落しました。
韓国市場が特に大きく売られた背景には、AI需要の拡大期待から恩恵を受けてきたメモリー半導体企業への高いエクスポージャーがあります。AI向けメモリーの需要が今後も続くのか、またAIインフラ投資に対して十分な収益が得られるのかが疑問視されると、メモリーメーカーは売りの対象になりやすくなります。
今回の動きだけで、AI需要が崩壊した、あるいは長期的なAI投資サイクルが終わったと判断することはできません。情報源が示しているのは、AI技術や需要の決定的な失敗ではなく、株価評価、設備投資、資金調達リスクに対する市場の再評価です。
より直接的なメッセージは、AIへの巨額支出が持続的で利益を伴う売上に結び付くことを、投資家がより強く求め始めたということです。その確信が戻るまでは、AIインフラ関連株は米国債利回り、原油価格、企業の設備投資計画、そして過去の株価上昇が速すぎたのかどうかに、引き続き敏感に反応する可能性があります。