FreeおよびGoユーザーは、ChatGPTの Settings → Ad Controls から広告のパーソナライズをオフにできます。ただし、これは広告そのものを完全に非表示にする設定ではありません。現在進行中の会話のテーマや意図に基づく「コンテキスト広告」は、パーソナライズを無効にしても表示される場合があります。
つまり、広告は回答文の中に紛れ込む推薦や指示ではなく、回答とは別の商業表示として扱われる設計です。実際の表示でこの区別が十分に伝わるかどうかは、欧州展開で注目される点になりそうです。
OpenAIは、広告主がユーザーのチャット、チャット履歴、メモリー、個人情報にアクセスすることはないとしています。広告主に提供されるのは、インプレッション数やクリック数など、集計済みで個人を特定しないパフォーマンス情報です。OpenAIは顧客データを販売していないとも説明しています。
過去のチャットや保存済みメモリーは、開始時点で広告のパーソナライズに使わないとされています。今後、より広い範囲のパーソナライズを導入する場合は、欧州のプライバシー規則に沿ってユーザーが明確に選択する必要があります。
欧州での開始当初、広告主はOpenAIのAds Solutionsチーム、広告代理店パートナー、テクノロジーパートナーを通じて広告枠を購入します。小規模事業者などが直接操作できるセルフサービス型のAds Managerについては、2026年夏の後半に提供予定とされていますが、欧州向けの発表では具体的な日程は示されていません。
広告の効果測定をめぐっては、モバイル計測・マーケティング分析企業AppsFlyerとの連携も報じられています。この仕組みにより、ChatGPT広告を経由したアプリのインストール、アプリ内購入、サブスクリプションを計測できるようにする狙いです。Grubhubを含む40社超のブランドがテストしたと報じられていますが、これは第三者による報道であり、OpenAIが公開した詳細な製品発表とは区別して見る必要があります。
広告事業の拡大目標は非常に野心的です。Reutersは、OpenAIが2026年の広告売上を25億ドル、2030年には年間1,000億ドルと見込んでいると報じました。これは投資家向けに伝えられた予測であり、達成が保証された数字ではありません。
米国の広告試験については、開始から6週間で年換算1億ドル超の売上規模に達したとReutersが報じています。 OpenAIは、これまでに数万人のマーケターがChatGPTで広告を出稿したと説明しており、欧州展開は別個の実験というより、既存プログラムの国際拡張と位置付けられます。
広告効果を測定する周辺ビジネスも生まれています。Similarwebは、ChatGPTやGoogle AI Mode、Google AI Overviewsに表示される有料掲載を対象にした「AI Ads」データセットを提供しています。同社が、調査対象となったChatGPTのFree・Goユーザー向け回答の26%にスポンサー広告が含まれていたと推計していますが、これはOpenAIが公表した広告表示率ではなく、第三者による測定値です。
8月24日以降、対象31市場のFreeおよびGoユーザーは、ChatGPTの回答下部にスポンサー表示を目にする可能性があります。チャット履歴を広告主に渡さないこと、広告を回答から分離すること、広告が回答に影響しないこと――OpenAIが示したこれらの約束が、欧州でどのように実際の体験へ反映されるかが焦点です。
広告主にとっては、ChatGPTが検索エンジンやSNSとは異なる「発見・購買の接点」になれるかが問われます。一方、ユーザーにとっては、無料利用を支える代わりに、会話画面の一部に広告を受け入れる新しい選択を迫られることになります。欧州での大規模テストは、ChatGPT広告が長期的な事業として定着できるかを見極める重要な試金石となりそうです。