同期間の歳出は28兆5670億ルーブルで、前年同期比14.5%増加した。歳入は22兆1120億ルーブルで、伸び率は8.8%だった。 つまり、問題は歳入の弱さだけではない。戦争と軍事関連の支出を中心に、歳出が歳入を大きく上回る構図が赤字を押し広げている。
企業の「自主献金」は、ロシアが戦費を調達する手段の一つにすぎない。政府は大企業への課税を強化し、付加価値税(VAT)も引き上げた。2026年予算では、国防と国家安全保障が歳出の約38%、16兆8000億ルーブルを占める計画とされている。
石油・ガス収入を積み立ててきた国民福祉基金も取り崩されている。ロイターが財務省の数字として伝えたところでは、基金の規模は戦前の1300億ドル超から、2025年初めには約500億ドルまで縮小した。
さらに、民間資産の接収は国家が企業や富裕層に及ぼす影響力を強める。亡命ロシア人経済学者らによる集計では、2022年初めから2025年末までに、検察当局が接収を求めた資産は約600億ドルに上るとされる。
全面侵攻開始後の戦争関連コストが累計で約50兆ルーブルに達したとの試算もある。ただし、この数字には国防、治安、占領、補償など幅広い費用が含まれる可能性があり、連邦予算の単一項目である6兆4550億ルーブルの赤字と直接比較できるものではない。
3836億9000万ルーブルは、ロシア政府にとって短期的な資金繰りを助ける金額ではある。しかし、数兆ルーブル規模の赤字を埋めるには遠く及ばない。
この動きのより大きな意味は、クレムリンが戦争の費用を通常の税収だけでなく、企業への直接的な拠出要請、基金の取り崩し、増税、借り入れ、資産接収によって広く負担させようとしている点にある。「自主的な寄付」は、そのなかでも大企業が国家にどれだけ従うのかを可視化する制度外の負担となっている。