米ホワイトハウスによると、関税は1930年関税法(Tariff Act of 1930)第338条に基づく追加措置だ。政権は、カナダが自動車、酒類、乳製品などの分野で米国製品を差別的に扱っていると主張し、その是正と米国の労働者・輸出品の保護を目的に掲げている。
この発言は、パイプラインの再開が米加間の新たな枠組みに関わる可能性を示唆するものだ。ただし、パイプラインの再開と関税の撤回を正式に結びつける条件や、具体的な計画が発表されたわけではない。
カナダのドミニク・ルブラン貿易相と首席交渉官のジャニス・シャレット氏は、米通商代表のジャミソン・グリア氏と繰り返し会談した。さらに期限直前には、ルブラン氏とシャレット氏がグリア氏、ハワード・ラトニック米商務長官とも協議した。
もっとも、8月中旬の時点では、合意案の一部をめぐって両国の隔たりは大きいとカナダ側が説明していた。8月19日の発動期限を前に、双方が妥協点を探る異例の短期決着となった。
協議の中心に残ったのが自動車関税だ。交渉では、カナダから輸入する自動車に対する米国の既存の25%関税を、部品・原材料の構成に応じた控除後に15%へ引き下げる案が検討されていた。
しかし、控除の計算方法をめぐって意見が一致していない。米国側は米国製部品の使用分を重視する一方、カナダ側は米国、カナダ、メキシコを含む北米全体の適格部品を認めるよう求めている。
そのため、15%という税率は交渉上の案にとどまり、確定した合意内容ではない。最終合意には、自動車の計算方式だけでなく、市場アクセスやその他の関税問題も盛り込む必要がある。
今回の措置が注目されたのは、1930年関税法第338条という、ほとんど使われてこなかった法的権限が根拠とされたためだ。ホワイトハウスは、同条が米国の通商を差別的に扱う国に対する追加関税を認めると説明している。
また、対象品目は、通常であれば米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づく優遇関税の対象となり得る製品にも及ぶ設計だった。つまり、USMCAの原産地要件を満たしていても、第338条の追加関税を免れられない可能性があった。
米国商工会議所は、関税が引き上げられれば米国とカナダの双方の経済を損ない、米国の家計負担を増やし、北米で一体化したサプライチェーンをさらに混乱させると警告した。
同商工会議所は、鉄鋼、アルミニウム、木材、自動車部品をめぐる貿易障壁を減らす合意であれば、米国の消費者、生産者、農家、労働者に利益が及ぶと主張している。
さらに、USMCAを基盤とするカナダ・メキシコとの貿易は、米国の約1,300万人の雇用を支えていると説明している。 これは地域貿易と関係する雇用の規模を示す数字であり、関税が発動すれば1,300万人の雇用が直ちに失われるという意味ではない。
両国の当局は、報じられた合意の大枠を正式な文書に落とし込み、とりわけ自動車関税の扱いを決めなければならない。最終的な条件が公表され、米国政府とカナダ政府の双方が受け入れるまでは、米加の新たな通商合意は暫定的な状態にある。
当面の関税ショックは回避されたが、交渉そのものが終わったわけではない。8月21日までの3日間が、トランプ氏の「合意」を実際の取り決めへ変えられるかどうかを左右する局面となる。