ベネズエラの油田を立て直すには、資金だけでなく、掘削設備、現場管理のノウハウ、地質・貯留層モデル、デジタル監視技術が必要になる。貯留層を正確に分析できれば、追加掘削、油層圧力の管理、増進回収、ガス処理、既存油田の再開発といった機会を見つけやすくなる。
今回のハントとの契約は、単なる関心表明から、より明確な開発枠組みへ進んだ点に意味がある。
PDVSAは8月末までに原油生産を日量124万5,000バレルへ引き上げる目標を示している。一方、米国エネルギー省の高官は8月18日、ベネズエラの現在の生産量を日量約125万バレルと説明し、そのうち日量50万バレル超、ほぼ半分が米国向けに輸出されていると述べた。
ベネズエラ産原油は重質油が中心で、専用の処理能力を持つ米国の製油所との相性が比較的良い。米国の製油所に日量50万バレル超が流れていることは、ベネズエラにとって販売先の確保、米国にとっては既存設備に適した原油の調達という両面で、関係改善の経済的な理由になる。
さらに、米国とイランの対立を背景にホルムズ海峡周辺の供給が混乱し、WTIやブレントなど国際原油価格が押し上げられているとの報道もある。中東以外から追加供給を増やせる可能性は、ベネズエラの油田再開発に対する商業的な魅力を高める要因となる。
今回の動きで注目されるのは、カラカスが外国企業を受け入れながら、PDVSAを中心とした国家の関与も維持しようとしている点だ。技術支援契約やサービス契約、生産に連動した契約を組み合わせれば、外国企業に投資・技術・成果への対価を与えつつ、国側が資源政策を管理する余地を残せる。
ただし、ハントとの8月の合意は純粋なサービス契約ではなく、より直接的な収益機会を含む生産分与契約と報じられている。一方、SLBとの貯留層調査は、明確に技術・サービス型の協力だ。つまり、ベネズエラは一律に同じ契約方式を採用しているのではなく、開発投資を担う企業には生産連動型の枠組みを、技術企業にはサービス・技術協力型の枠組みを用いながら、外国資本を呼び込もうとしている。
8月18日の合意は、ハント・オイルの投資・開発能力と、SLBの貯留層・デジタル技術を組み合わせるものだ。ベネズエラにとっては、原油生産の回復、油田の近代化、日量5億立方フィートに及ぶ天然ガス不足への対応を急ぐ手段となる。
米国の製油所需要、国際原油価格の上昇、ベネズエラ側の巨額投資需要が重なるなか、今回の契約は、4月以降に進んできた米国・ベネズエラ間のエネルギー関係を、政治的な接近から実際の操業・技術協力へ移す一歩といえる。