この訪問は、トルコがシリア暫定政権との防衛・制度面での協力を深めつつあることの表れと受け止められた。アブ・アル・ズフールの再整備が実現すれば、トルコがシリア国内に恒常的な軍事的足場を持つ可能性が意識されることになる。
ただし、公開情報だけでは、トルコ軍の展開が正式決定されていたのか、部隊の規模や配備時期がどうなっていたのかまでは確認できない。代表団の訪問と空爆の時間的な近さは強い関連性を示唆するが、具体的な配備計画を独立して証明するものではない。
首相府は、イスラエルとシリアの間で安全保障上の現状を維持する了解があったとし、シリアがトルコ軍の基地展開を認めようとしたことで、その状態が破られかねなかったと説明した。イスラエル側の主張では、ダマスカスに対してトルコ軍の展開を認めないよう繰り返し警告していたが、警告が無視されたため、トルコの軍事的拡大を阻止する攻撃に踏み切ったという。
シリア外務当局は、攻撃を主権と領土保全に対する「明白な違反」および「危険なエスカレーション」と非難した。イスラエルによる攻撃は国内の安定化に向けた取り組みを損なうとして、国連安全保障理事会に対応を求める方針も示した。
バラック氏はさらに、アハマド・アル・シャラア氏率いるシリア暫定政権について、攻撃的な姿勢を取っておらず、代理勢力も維持していないと説明した。戦後の大きな制約に直面する発足間もない政府を、イスラエルに対する差し迫った脅威とみなすべきではないとの立場を示し、米国は安定し統一されたシリアを支持すると強調した。
同氏によれば、トルコは空爆を事前に知らされていなかった。そのため、北上する航空機を確認したトルコ側が、自国領空に向かう動きとして対応を準備する可能性もあったという。
今回の空爆は、戦後シリアを誰が、どのような形で支えるのかをめぐる競合する構想を浮き彫りにした。
イスラエルは、自国の安全保障圏に近い地域で敵対的な軍事能力が構築されることを阻止しようとしている。今回のケースでは、そこにトルコの長期的な軍事プレゼンスへの警戒が加わった。一方、トルコはダマスカスとの軍事・制度面の協力を強め、シリアの新たな安全保障体制に関与する姿勢を見せている。