観測対象は、次のように多岐にわたる。
これらを組み合わせることで、急速に変化する北極海において、大気・海氷・海洋がどのように相互作用し、生態系と結びついて変化するのかを、現場の長期データとして記録する。観測結果は、研究モデルの検証や、北極の変化を予測する気候モデルの精度向上にも役立つと期待されている。
作業内容には、氷上漂流浮標の設置、積雪・氷芯・氷下水の採取、海氷のリモートセンシング、大気プロファイル観測、氷下の海洋水文観測などが含まれる。「雪龍」と「雪龍2」の観測地点を連携させることで、北極中央部のデータをより広い範囲でカバーする狙いがある。
今回の探査では、北極海に無人の観測ネットワークを構築するとともに、中国製の海洋観測システムの試験と実運用も進められた。特に、今回多く設置された氷上の浅水・深水プロファイリング浮標や海氷漂流浮標では、国産化率が平均90%を超えた。
また、生態系を観測する無人氷上観測所が、北極で初めて実証された。音響・光学・電気センサーを組み合わせ、大気、海氷、海洋、生態系を連続的に観測するシステムだ。季節が極夜から極昼へ移る時期をまたいで、氷の下の生物が暗闇の冬をどのように生き延び、太陽光が戻った後にどう反応するのかを追跡することを目指している。
このように第16次北極探査では、観測地点の数を増やすだけでなく、複数分野のデータを長期間・自動的に収集する体制づくりが進められた。北極の環境変化を、より広い空間と長い時間軸で捉えるための取り組みといえる。