ユニツリーは、IPOで得た資金を主に次の4事業へ投じるとしている。
資金使途からは、ソフトウェアとハードウェアを一体で強化する方針が読み取れる。モデルの研究開発は、ロボットの知能や制御性能を高める取り組みだ。一方、試作機や新製品の開発は、研究成果を実際の商品や商用システムへつなげる役割を担う。製造拠点の建設は、今後の生産能力拡大を支える投資となる。
ユニツリーは、四足歩行ロボットとヒューマノイドロボットの双方を展開している。目論見書に基づく報道によれば、同社は2023年から2025年にかけて四足歩行ロボットを3万3,000台以上販売し、2025年だけでヒューマノイドロボットを5,500台以上出荷した。同社は、この出荷台数が同年の世界最多だったとしている。
ヒューマノイドロボットは、売上高に占める存在感も高まっている。営業収入は、2023年の約1億5,900万元、2024年の約3億9,300万元から、2025年には約17.08億元へ急増した。ロイター通信によると、2025年の営業収入は前年比335%増となり、純利益も大幅に伸びた。
目論見書を基にした別の報道では、2025年の調整後純利益は約6億元とされ、2023年の調整後赤字から黒字へ転換したことになる。つまりユニツリーは、将来の商用化だけを材料に上場するのではなく、IPO時点で一定の利益実績を示している。
ただし、1年間で出荷台数や売上高が大きく伸びたことだけで、今後も同じペースの需要が続くとは限らない。上場後の焦点は、調達資金を使って生産を拡大し、初期需要を継続的かつ再現性のある販売へ転換できるかどうかだ。
機関投資家からの関心も強かった。提出資料に基づく報道では、313の機関投資家が運用する11,052の有効なオフライン申込口座が確認された。また、株式配分の調整が行われた後、オンライン募集株数は約970.7万株となった。
オフライン申込や戦略的配分の詳細は、発行会社および取引所の提出資料に基づくデータだ。需要の強さを示す材料ではあるものの、それ自体を独立した市場予測とみなすことはできない。一方、個人投資家の抽選倍率と当選確率については、ロイター通信なども報じており、今回のIPOをめぐる関心の異常な高さを示している。
公募価格150.80元に基づく上場後の時価総額は、約609.93億元となる。Global Timesは、公募価格に対応する株価収益率(PER)が 219.23倍 だと報じており、将来の成長期待が株価に大きく織り込まれていることが分かる。
この高い評価には、ヒューマノイドと四足歩行ロボットの両分野での事業基盤、2025年の急成長、中国本土で上場するヒューマノイドロボット企業の少なさ、そして「具身型AI」への投資熱が反映されている。ロイター通信は、今回の上場によってユニツリーが中国本土で初めて上場するヒューマノイドロボットメーカーになると報じている。
もっとも、高いバリュエーションは、出荷台数が期待を下回った場合や、利益率の低下、生産の遅れ、商用導入の鈍化が起きた場合に、株価への影響を大きくする可能性がある。資金使途は経営陣の投資方針を示すが、上場したこと自体が投資の成果や将来のリターンを保証するわけではない。
ユニツリーのIPOは、これまで主に未上場企業への資金調達や戦略投資を通じて評価されてきたロボット業界に、公開市場での基準価格を与えることになる。今後は、生産規模、ロボットの信頼性、顧客需要、収益性、そしてヒューマノイドがデモンストレーションや試験導入を超えて普及する速度が、これまで以上に厳しく見られるだろう。
投資家や業界関係者にとって重要なのは、ユニツリーが61.0億元を調達できるかどうかだけではない。4つの資金使途を通じて、急成長を持続可能なロボット事業へ変え、約609.9億元の評価額を正当化できるかどうかが問われる。
8月19日の上場を前に確認できる主な事実は、公募価格、調達規模、4つの資金使途、2025年の業績拡大、そして異例の申込需要だ。長期的な投資判断は、上場後にユニツリーがどのような製品と業績を実際に届けるかにかかっている。