ただし、1,000ドルのPS6、AI関連の製造コスト、メモリー不足といった話は、現時点では予測や仮説であり、ソニーが発表した仕様や価格ではない。デジタル販売による利益率の改善が、将来の本体価格をどの程度抑えられるかも確定していない。
反発の中心にあるのは、単に「箱がなくなる」ことだけではない。物理版がなくなると、次のような選択肢が狭まる。
デジタル購入では、消費者がディスクという物理的な媒体を所有するのではなく、サービス上で利用する権利を得る形になる場合がある。そのため、ストアの閉鎖、アカウント制限、サーバーや認証環境の変更が起きた際に、購入した作品へどこまでアクセスできるのかという不安が生まれる。
さらに、PlayStationでは実質的にPlayStation Storeが中心的な販売窓口となる。競合するストアや中古ディスクが存在しなくなれば、ソニーの価格決定力が強まり、消費者に不利な条件になり得るという批判もある。こうした問題意識が、署名活動、ボイコットの呼びかけ、訴訟につながっていると報じられている。
一方、「PlayStation Storeのゲームは物理版より約47%高い」という主張は、今回確認できた情報だけでは十分に裏付けられない。価格差は国、作品、販売時期、店舗によって変わるため、一般化には注意が必要だ。
今回のCMで大きく扱われた『Marvel’s Wolverine』は、完全デジタル化の象徴というより、むしろ移行期の物理版タイトルとして注目されている。Insomniac Gamesは、PS5のディスクだけでもゲーム本編をプレイできると説明しつつ、発売初日に配信されるパッチの適用を推奨しているという。
つまり、同作のマーケティングがデジタル版限定になったことを示す証拠はなく、2028年の方針が始まる前に発売される、物理ディスク対応の大型タイトルになる可能性が高い。
保存活動団体などの支援を受けた消費者側の申し立てでは、物理版の選択肢をなくすことで、ソニーがPlayStationのデジタル販売を独占するとの主張も報じられている。 今後の焦点は、価格設定だけでなく、購入済みゲームへの長期的なアクセス、修復や保存の仕組み、そして小売店で販売されるデジタルコードの条件にも及びそうだ。
『GTA VI』がCMに登場したことは、ソニーが同作をPS5の重要な訴求材料として引き続き宣伝していることを示す。ただし、広告への登場だけで、ソニーとRockstar Gamesの商業提携の範囲まで断定することはできない。
また、Domino’s Pizzaの反応、8月27日に予定されているNetflixの「Extended Look」、Nintendoの物理版販売との具体的な比較については、今回確認できた信頼性の高い情報では裏付けが不足している。公式発表や確かな報道がない限り、既成事実として扱うべきではない。
現時点で言えるのは、「It Happens on PS5」が単なるゲーム広告にとどまらず、PlayStationの次の時代をデジタル中心に描くキャンペーンになっていることだ。とはいえ、PS5 Digital Editionを前面に出した演出は、ディスク対応ハードが直ちに消えることの独立した証明ではない。確定しているのは、2028年1月以降の新作について、物理ディスクという販売形式がなくなるというソニーの公式方針である。