ただし、13Fが示すのは2026年6月末時点の保有状況であり、現在のポートフォリオをリアルタイムで映すものではない。
グリーンウッズ・アセット・マネジメントの米国株ポートフォリオでは、変化がさらに目立つ。エヌビディアとメタを売却したほか、アマゾンとアリババについても売却が報告された。その一方で、ASML、アプライド・マテリアルズ、アプライド・オプトエレクトロニクスへの投資を新たに始めた。
新規投資先は、半導体製造装置と光ネットワークという異なる分野にまたがる。結果として、AIアプリケーションやクラウドサービスで収益化する企業よりも、半導体やデータセンターの容量拡大を可能にする供給企業への比重が高まった。
ただし、グリーンウッズの開示米国株ポートフォリオは四半期中に大きく縮小している。そのため、これは大型テクノロジー株を同額のハードウェア株へ入れ替えた単純な取引とは言い切れない。開示ポートフォリオ全体の規模を落としながら、残った資産の中で配分を組み替えた動きでもある。
オリエンタル・ハーバー・インベストメントは、より穏当な調整を行った。エヌビディアを約20万2,000株減らし、アルファベットも削減したが、四半期末時点でも両社は主要な保有銘柄として残っていた。一方、インテル、サンディスク、AMD、マーベル・テクノロジー、Arm、ブロードコム、Lumentumの保有を新たに始めたと報じられている。
サンディスクの保有額は約1億7,600万ドルとされ、インテルはポートフォリオの主要銘柄に浮上した。マイクロンも買い増している。したがって、オリエンタル・ハーバーの動きは、エヌビディアやハイパースケーラーを全面否定したというより、AIへの投資先をメモリー、計算用チップ、ネットワーク、光通信へ広げた「組み替え」と見るべきだろう。
提出資料からは、AIサプライチェーンの中でも、まだ投資が集中していない領域に、より魅力的なリスクとリターンの組み合わせを見いだしている可能性がうかがえる。メモリー、ストレージ、接続部品、光通信、半導体製造装置は、AI関連のデータセンター投資に参加しながら、最大手のAIプラットフォーム企業だけに依存しない手段となる。
ただし、これはポートフォリオの読み解きであり、将来どの分野が市場平均を上回るかを保証するものではない。13Fは四半期末の保有銘柄を示すだけで、運用会社が次にどのセクターの上昇を予想しているかまで明らかにするものではない。
ハイパースケーラーの保有削減は、AIインフラ投資の収益性に対する慎重姿勢とも整合する。クラウドやプラットフォーム企業は、AIサービスから得られる売上の規模や持続性が明確になる前に、多額の設備投資を負担しなければならない。
一方、ハードウェア企業は、最終利用者が生成AIサービスからどれだけ収益を得られるかが不透明な局面でも、顧客が計算能力を増やすために部品や製造装置を発注すれば恩恵を受けられる場合がある。
もちろん、今回の取引すべてがこの考えに基づくものだと断定することはできない。提出資料が示すのは保有状況であって、運用会社内部の投資判断や議論ではないからだ。
最も大きな意味は、AI投資が「エヌビディアとハイパースケーラーを保有する」という一括りのテーマから、より細分化されたサプライチェーン投資へ移行しつつあることだろう。計算能力、メモリー、ストレージ、ネットワーク、光接続、半導体製造装置を分け、それぞれのボトルネックを見極めようとしている。
この考え方では、AIクラスターが拡大するほど、それらを構築・接続する部品に次の投資機会が生まれる。しかし、2026年第2四半期の資料だけで、こうした銘柄が今後も大型テクノロジー株を恒常的に上回ると結論づけることはできない。確認できるのは、2026年6月30日終了四半期における開示ロングポジションの変化である。
13Fは、機関投資家が保有する米国上場株の大口ポジションや、四半期ごとの変化を把握するうえで有用だ。一方で、開示にはタイムラグがある。空売り、デリバティブ、米国外の保有銘柄、報告基準日以降の取引などは、同じ形では反映されない。
したがって、今回の資料から導くべき結論は、「中国系ヘッジファンドがAIを売っている」という単純なものではない。複数の有力運用会社が、AIへの投資方法を変え、最も目立つプラットフォーム企業への集中から、メモリー、製造能力、計算用ハードウェア、ネットワーク、光インフラに結びつく幅広い供給企業へ資金を振り向けている、ということだ。
次に問われるのは、AI投資が続くかどうかだけではない。その拡大の経済的な果実を、サプライチェーンのどの層が最も多く取り込むのかである。