同社のデータでは、個人投資家の参加は低調で、機関投資家の取引対象も少数の銘柄に集中した。また、機関投資家は現物を単純に買うだけでなく、オプションやCFD(差金決済取引)を使ってエクスポージャーを構築する傾向を強めている。
もっとも、72%という数字はWintermuteのOTCデスク上のフローを示すもので、世界の暗号資産市場全体を測定したものではない。それでも、限られた取引経路で誰が限界価格を形成しているのかを知る手がかりにはなる。
機関投資家が注目する指標は、単純な時価総額から次のような項目へ広がっている。
重要なのは、ネットワークが収益を生んでいることと、トークン保有者がその収益の恩恵を受けることは別だという点だ。時価総額が大きいだけでは、トークン保有者が事業上の利益を所有するのか、受け取るのか、あるいはガバナンスを通じて影響力を持つのかは分からない。
Bitwiseの最高投資責任者(CIO)マット・ホーガン氏は、買い戻しやバーンなど、収益をトークンへ還元する仕組みが広がれば、トークンの評価が大きく見直される可能性があると指摘している。
この考え方を最も分かりやすく示す例が、分散型デリバティブ取引所Hyperliquidと、そのネイティブトークンHYPEだ。
Hyperliquidは、オンチェーンの無期限先物市場を運営している。Bitwiseによれば、同プロトコルは2026年6月までに累計収益10億ドルを超え、同年の年間収益は約8億ドルのペースにあるとされた。また、対象となるプロトコル収益の約99%を、公開市場でのHYPE購入に振り向ける仕組みを採用している。
この場合の投資仮説は、単にHYPEが時価総額ランキングの何位にあるかではない。取引需要が生まれ、手数料収入が発生し、その収益がHYPEの買い圧力につながるという流れを検討することになる。
ただし、これらは企業・業界側の推計であり、監査済みの利益とは限らない。将来も同じ規模の買い戻しが続く保証もない。収益の規模だけでなく、インセンティブや流動性提供者への支払いなどを差し引いた後に何が残るのか、そしてその残余が本当にトークンへ還元されるのかを確認する必要がある。
ファンダメンタルズ重視の流れが進んでも、日々の値動きが企業の業績分析のように決まるわけではない。無期限先物は高いレバレッジで、24時間継続的にポジションを取れる。資金調達率は、ロングとショートのどちらがポジション維持のコストを負担しているかを示す指標だ。
相場が一方向に傾いた状態で価格が反対に動くと、証拠金不足による強制清算が発生する。清算注文がさらなる価格変動を生み、収益や利用者数とは無関係に、上昇・下落が加速することもある。
そのため、プロトコル収益やユーザー指標は中期的な評価の土台になり得る一方、短期リターンでは資金調達率、建玉、流動性、清算の連鎖が優勢になりやすい。
機関投資家の関心は、収益や規制市場との適合性を比較的測定しやすい分野に集まっている。具体的には、ステーブルコイン、その準備資産と手数料収入、トークン化された実物資産、オンチェーンのデリバティブ、利用実態を確認しやすいインフラやプロトコルなどだ。
Bitwiseは、市場が低迷する中でも、トークン化されたRWAや予測市場で過去最高水準の活動が続いたと報告している。 これは、トークン価格が下落している局面でも、ブロックチェーン上のサービス利用や手数料収入が必ずしも同じ割合で消えるわけではないことを示す。
投資家が暗号資産そのものではなく、関連企業へ投資する動きもこの傾向と一致する。2026年上半期、Bitwiseの報告では暗号資産関連株が23%上昇した一方、暗号資産は36%下落した。投資家が、認識しやすい収益、準備資産からの収入、事業運営上のレバレッジを持つ企業を、暗号資産全体の値動きに連動する商品より高く評価した可能性がある。
ただし、これは価値が恒久的にトークンから株式へ移ったことの証明ではない。市場環境や銘柄構成の違いも結果に影響する。
Arbitrumは、利用実態とトークン価値の距離を考えるうえで有用なケースだ。同ネットワークでは累計取引件数が21億件を超え、ステーブルコイン残高やトークン化資産の活動も大きいと報告されている。
これは、決済やアプリケーション利用が実際に存在することを示す。しかし、取引件数は収益ではなく、収益もそのままトークン保有者のリターンになるわけではない。ARBは基本的にArbitrum Oneなどのガバナンスを担うERC-20トークンと位置付けられており、ネットワーク利用からトークン保有者への価値移転がどのように起きるのかを、前提としてではなく個別に分析する必要がある。
ステーブルコイン残高の増加は、オンチェーン上で利用可能な購買力や、決済・資産移転の摩擦が低いことを示す場合がある。ステーブルコインとトークン化された現金同等資産や実物資産が組み合わさる領域は、機関投資家にとっても検討しやすい。
一方で、残高がすべて活発な投資需要を意味するわけではない。担保として眠っている資金も含まれ得るため、ステーブルコイン残高は流動性の指標ではあっても、持続的なリスク資産需要の証拠とは限らない。
規制上の道筋が明確になれば、ETFや機関投資家向け商品の組成は進めやすくなる。しかし、制度面が整っても需要が自動的に生まれるわけではない。Grayscaleは最近、ADA、DOT、HBARに連動するETF案を、市場下落が長引く中で取り下げた。
2026年第2四半期には、暗号資産市場は3四半期連続の下落となり、全体の時価総額は12.6%減の2.1兆ドルとなった。金利、流動性、投資家のリスク許容度、世界的なマクロストレスは、短期的にはプロトコルの実力を上回る影響を及ぼし得る。
Wintermute、Bitwise、Arbitrum Foundation、Grayscaleをめぐる材料が示すのは、CoinMarketCapの順位を完全に無視する市場ではない。むしろ、時価総額を出発点にしながら、次の問いを重ねる市場だ。
残るリスクは大きい。収益は景気循環で変動し、ユーザーは別のサービスへ移る可能性がある。ガバナンストークンが手数料を受け取れるとは限らず、買い戻しやバーンの方針も変更され得る。オンチェーン指標の水増し、デリバティブの過剰レバレッジ、規制・カストディ・スマートコントラクト・ステーブルコイン準備資産のリスクも残る。
したがって、現在進んでいるのは暗号資産が伝統的な株式市場になったということではない。最大のトークンを買うだけだった時代から、需要、収益、資産、そしてトークンへの価値還元を見極める、より選別的な投資へ移行しつつあるということだ。
同社のデータでは、個人投資家の参加は低調で、機関投資家の取引対象も少数の銘柄に集中した。また、機関投資家は現物を単純に買うだけでなく、オプションやCFD(差金決済取引)を使ってエクスポージャーを構築する傾向を強めている。
もっとも、72%という数字はWintermuteのOTCデスク上のフローを示すもので、世界の暗号資産市場全体を測定したものではない。それでも、限られた取引経路で誰が限界価格を形成しているのかを知る手がかりにはなる。
機関投資家が注目する指標は、単純な時価総額から次のような項目へ広がっている。
重要なのは、ネットワークが収益を生んでいることと、トークン保有者がその収益の恩恵を受けることは別だという点だ。時価総額が大きいだけでは、トークン保有者が事業上の利益を所有するのか、受け取るのか、あるいはガバナンスを通じて影響力を持つのかは分からない。
Bitwiseの最高投資責任者(CIO)マット・ホーガン氏は、買い戻しやバーンなど、収益をトークンへ還元する仕組みが広がれば、トークンの評価が大きく見直される可能性があると指摘している。
この考え方を最も分かりやすく示す例が、分散型デリバティブ取引所Hyperliquidと、そのネイティブトークンHYPEだ。
Hyperliquidは、オンチェーンの無期限先物市場を運営している。Bitwiseによれば、同プロトコルは2026年6月までに累計収益10億ドルを超え、同年の年間収益は約8億ドルのペースにあるとされた。また、対象となるプロトコル収益の約99%を、公開市場でのHYPE購入に振り向ける仕組みを採用している。
この場合の投資仮説は、単にHYPEが時価総額ランキングの何位にあるかではない。取引需要が生まれ、手数料収入が発生し、その収益がHYPEの買い圧力につながるという流れを検討することになる。
ただし、これらは企業・業界側の推計であり、監査済みの利益とは限らない。将来も同じ規模の買い戻しが続く保証もない。収益の規模だけでなく、インセンティブや流動性提供者への支払いなどを差し引いた後に何が残るのか、そしてその残余が本当にトークンへ還元されるのかを確認する必要がある。
ファンダメンタルズ重視の流れが進んでも、日々の値動きが企業の業績分析のように決まるわけではない。無期限先物は高いレバレッジで、24時間継続的にポジションを取れる。資金調達率は、ロングとショートのどちらがポジション維持のコストを負担しているかを示す指標だ。
相場が一方向に傾いた状態で価格が反対に動くと、証拠金不足による強制清算が発生する。清算注文がさらなる価格変動を生み、収益や利用者数とは無関係に、上昇・下落が加速することもある。
そのため、プロトコル収益やユーザー指標は中期的な評価の土台になり得る一方、短期リターンでは資金調達率、建玉、流動性、清算の連鎖が優勢になりやすい。
機関投資家の関心は、収益や規制市場との適合性を比較的測定しやすい分野に集まっている。具体的には、ステーブルコイン、その準備資産と手数料収入、トークン化された実物資産、オンチェーンのデリバティブ、利用実態を確認しやすいインフラやプロトコルなどだ。
Bitwiseは、市場が低迷する中でも、トークン化されたRWAや予測市場で過去最高水準の活動が続いたと報告している。 これは、トークン価格が下落している局面でも、ブロックチェーン上のサービス利用や手数料収入が必ずしも同じ割合で消えるわけではないことを示す。
投資家が暗号資産そのものではなく、関連企業へ投資する動きもこの傾向と一致する。2026年上半期、Bitwiseの報告では暗号資産関連株が23%上昇した一方、暗号資産は36%下落した。投資家が、認識しやすい収益、準備資産からの収入、事業運営上のレバレッジを持つ企業を、暗号資産全体の値動きに連動する商品より高く評価した可能性がある。
ただし、これは価値が恒久的にトークンから株式へ移ったことの証明ではない。市場環境や銘柄構成の違いも結果に影響する。
Arbitrumは、利用実態とトークン価値の距離を考えるうえで有用なケースだ。同ネットワークでは累計取引件数が21億件を超え、ステーブルコイン残高やトークン化資産の活動も大きいと報告されている。
これは、決済やアプリケーション利用が実際に存在することを示す。しかし、取引件数は収益ではなく、収益もそのままトークン保有者のリターンになるわけではない。ARBは基本的にArbitrum Oneなどのガバナンスを担うERC-20トークンと位置付けられており、ネットワーク利用からトークン保有者への価値移転がどのように起きるのかを、前提としてではなく個別に分析する必要がある。
ステーブルコイン残高の増加は、オンチェーン上で利用可能な購買力や、決済・資産移転の摩擦が低いことを示す場合がある。ステーブルコインとトークン化された現金同等資産や実物資産が組み合わさる領域は、機関投資家にとっても検討しやすい。
一方で、残高がすべて活発な投資需要を意味するわけではない。担保として眠っている資金も含まれ得るため、ステーブルコイン残高は流動性の指標ではあっても、持続的なリスク資産需要の証拠とは限らない。
規制上の道筋が明確になれば、ETFや機関投資家向け商品の組成は進めやすくなる。しかし、制度面が整っても需要が自動的に生まれるわけではない。Grayscaleは最近、ADA、DOT、HBARに連動するETF案を、市場下落が長引く中で取り下げた。
2026年第2四半期には、暗号資産市場は3四半期連続の下落となり、全体の時価総額は12.6%減の2.1兆ドルとなった。金利、流動性、投資家のリスク許容度、世界的なマクロストレスは、短期的にはプロトコルの実力を上回る影響を及ぼし得る。
Wintermute、Bitwise、Arbitrum Foundation、Grayscaleをめぐる材料が示すのは、CoinMarketCapの順位を完全に無視する市場ではない。むしろ、時価総額を出発点にしながら、次の問いを重ねる市場だ。
残るリスクは大きい。収益は景気循環で変動し、ユーザーは別のサービスへ移る可能性がある。ガバナンストークンが手数料を受け取れるとは限らず、買い戻しやバーンの方針も変更され得る。オンチェーン指標の水増し、デリバティブの過剰レバレッジ、規制・カストディ・スマートコントラクト・ステーブルコイン準備資産のリスクも残る。
したがって、現在進んでいるのは暗号資産が伝統的な株式市場になったということではない。最大のトークンを買うだけだった時代から、需要、収益、資産、そしてトークンへの価値還元を見極める、より選別的な投資へ移行しつつあるということだ。