しかし、流出したのは実在するハードウェアウォレット所有者の氏名、住所、電話番号、購入機種という、フィッシング(詐欺)に極めて悪用しやすい情報です。すでに30以上のフィッシングサイトがこの流出データに関連して確認されています。
暗号資産(仮想通貨)の世界では、ウォレットそのものが安全でも、所有者の個人情報を武器にした攻撃が後を絶ちません。「お客様のウォレットに問題が発生しました」といった偽のサポートを装い、ユーザーをだまして秘密鍵やリカバリーフレーズを入力させる手口は年々巧妙化しています。
SafePalの今回の漏洩は、過去のハードウェアウォレット業界における大規模情報流出のパターンを忠実になぞるものです。特に、2020年のLedger(レジャー)の事件は記憶に新しいところです。
規模の違い: Ledgerの約100万件に比べればSafePal(約4万件)とTrezor(約1万4千件)は小規模だが、肝心なのは「質」。3件とも実在するハードウェアウォレット保有者の最新個人情報であり、詐欺師にとっては極上の「標的リスト」となる。
攻撃経路の多様化: Ledgerは外部のAPIキー、Trezorは委託先企業、SafePalは自社プラグインと、攻撃経路はそれぞれ異なる。これはウォレットそのものの脆弱性ではなく、企業の顧客情報管理とサプライチェーン全体のセキュリティに課題があることを示している。
全事件に共通する「安全」な部分: シードフレーズ、秘密鍵、ウォレットの資金はいずれの事件でも一切侵害されていない。これはハードウェアウォレットの設計思想(秘密鍵をインターネットから物理的に隔離する)が機能している証拠でもある。