2兆ドル超の評価額は、AIブームの中でも極めて野心的な収益成長曲線に支えられている。Anthropicの年換算売上高は、2024年末の約10億ドルから急増。2025年末には90億ドル、2026年4月には300億ドル、そして5月下旬には470億ドルに達した。
しかし、2兆ドル目標の真の根拠はさらに先にある。同社は2028年の年間収益を約1900億~2000億ドルと予測している。この数字は2人の関係者によって確認されたもので、これまで公表されていなかった。通常のIPO評価は直近の業績に基づくが、Anthropicの場合はウォール街が2年先の収益を見込んで価格を正当化していることになる
。この2028年の予想収益に対しては、株価収益倍率(PSR)は約10~10.5倍に低下し、これは高成長AI株と比較して保守的だと支持派は主張する
。一方、現在の470億ドルの年換算売上高に対して2兆ドルの評価額を適用すると、PSRは約43倍という非常に高い倍率になる
。
ロイター通信によると、Anthropicのアナリストデーに向けて評価の参考にされている公開企業は、Cloudflare、Palantir、SpaceXである。また、PalantirやNebiusが今年の収益の約55倍で取引されていることから、支持派はAnthropicの約43倍という倍率が妥当に見えると主張している
。
とはいえ、Anthropicには米国に直接比較できる上場企業が存在しない。そのため、評価は本質的に投機的となる。Fortune誌は、2兆ドルの評価を正当化するには、AnthropicがAmazonと同程度の収益を上げる必要があると指摘。Amazonが時価総額2兆ドルに達した時の収益は、Anthropicのそれをはるかに上回っていた
。ナスダック100の平均的な企業は、過去利益の約34倍、将来利益の約25倍で取引されている
。
アナリスト、投資家、中央銀行総裁らからはいくつもの懸念が示されている。
予測市場では、AnthropicがOpenAIよりも先にIPOを実現するとの見方が強く支持されている。
AnthropicはOpenAIに少なくとも数四半期先んじて、2026年10月に史上最大のIPOを実施すると広く予想されている。しかし、この2兆ドルという評価額は、同社がすでに巨額となった収益を2028年までに約4倍にするという計画に依存している。そして、中央銀行総裁やベテラン投資家を含む懐疑派は、その成長軌道の持続可能性に疑問を呈している。今回のIPOは、AIブームにおける非公開市場の熱狂が、公開市場の厳しい審査に耐えられるかどうかを試す最大の試金石となるだろう。