全国的なAIインフラ建設ブーム:中国のデータセンター・AIコンピューティング市場は2025年に5000億元を超え、国内AIチップだけでも約1000億元の市場規模に達した。華為技術(ファーウェイ)と寒武紀を中心とする国産チップメーカーは、2026年半ばまでに国内AIサーバー市場の約80%を掌握するに至った。わずか2年前にはほぼゼロだった国産シェアからの劇的な変貌である。
高い粗利率の維持:供給制約のある市場において、国内代替品は設計上の課題よりもTSMCやSMICにおけるファウンドリー(受託製造)容量の制限に直面している。この状況で、寒武紀は7四半期連続で約55%の粗利率を維持する価格決定力を発揮している。
エヌビディアの最先端製品を事実上締め出し:米国商務省は2023年10月以降、エヌビディアのH100、A100の対中輸出を「原則拒否」の姿勢で正式に禁止している。2025年後半にトランプ政権がH200の中国企業10社への販売を承認した際も、中国政府は国内企業に購入を拒否するよう指示した。エヌビディア自身も2026年2月時点で、中国向けH200販売による収益がまだ0であると報告している。2026年半ばまでに、エヌビディアの中国向けAIチップ収益は約170億ドルからほぼゼロへと落ち込む見通しとなった。
2026年5月の「抜け穴」塞ぎ:2026年5月31日、米国商務省は中国企業が海外子会社を通じて先端エヌビディアチップを購入する最後の大きな「抜け穴」を閉鎖し、エヌビディアと中国市場の間に恒久的な壁を築いた。
結果としての「囲い込み市場」:中国のクラウドプロバイダーやAI企業は、国産品を購入する以外に選択肢がなくなった。寒武紀、ファーウェイ(昇腾=Ascend)、阿里巴巴集団(アリババグループ、T-Head)、百度(崑崙芯)の4社は、2026年4月までに現地市場のほぼ半分を占めるに至った。中国の半導体自給率は2024年第4四半期の約16%から急上昇した。ブルッキングス研究所はこの状況を「ボールゲームは終わった。米国は中国のAIチップ市場から撤退した」と辛辣に総括している。
政策主導による外国製ハードウェアの代替:香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、寒武紀が「制限された外国技術を置き換える全国的な動きに乗った」と報じた。中国政府は国有企業や重要インフラ事業者に対し、外国製チップを国産品に代替するよう推進した。さらに、中国工業情報化部(MIIT)は、政府調達のための「安全で信頼できる」国産AIチップ認定リストを新たに発行し、初期認定を受けたのは寒武紀とファーウェイのわずか2社だけだった。
半導体自給率の劇的な加速:中国の半導体自給率は2025年第4四半期に28%に達し、前年の16%から急上昇した。華為技術と寒武紀に率いられた中国チップサプライヤーは、2026年に国内AIサーバー市場の約80%を獲得し、エヌビディアやAMDなどの外資系サプライヤーをさらに圧迫すると予測された。トレンドフォースは後に予測を修正し、国内ソリューションが2026年に中国のハイエンドアクセラレーター市場の90%近くを占め、外資系ベンダーは年間出荷台数が83%以上成長する市場の約10分の1を維持するにとどまるとした。
研究開発費の増加:2026年上半期の研究開発費は前年比約30%増加し、2026年下半期に発売予定の次世代「思元690(Siyuan 690)」チップへの巨額の再投資を示唆している。このチップはエヌビディアH100に対抗する性能を目指して設計されていると報じられている。寒武紀はまた、金融・インターネット業界のリーディングカンパニーとの連携を深め、両セクターでの製品の大規模展開を推進している
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四半期ごとの成長鈍化:決算発表後、株価は約7%下落した。四半期ごとの連続成長率が鈍化し、アナリストの予想を大幅に下回ったためだ。売上高と利益は前年比で倍増したものの、四半期ベースの成長ペースは「アナリストが予想していた水準をはるかに下回った」。これは初期の需要ラッシュが成熟段階に入っている可能性を示唆している。
運転資金への負担:在庫が前期比83%増の82.5億元に急増し、営業キャッシュフローは65.83%減少した。これは、在庫を現金化する速度以上に在庫を積み増していることを示しており、需要が軟化したり、ファーウェイが約49%の市場シェアを握る中で寒武紀の成長余地が圧迫されたりした場合の潜在的なリスクとなる。
ファウンドリー(受託製造)のボトルネック:SMICの7nmプロセス容量こそが、チップ設計ではなく、生産を制約する要因である。ファーウェイやアリババも同じ限られた容量を争奪しており、寒武紀が100%以上の売上高成長を維持できるかどうかは、SMICの生産能力拡大にかかっている。しかし、米国の設備規制の下でその見通しは依然不透明である
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結論として、寒武紀の2026年上半期決算は、米国の輸出規制によって創出され、中国政府の国内代替推進政策によって加速された「囲い込み市場」の直接的な反映である。寒武紀が突如としてエヌビディアを凌駕する優れたチップを開発したわけではない。エヌビディアが強制的に排除された市場において、「最良の代替品」となったに過ぎないのだ。