黒海ターミナルが直接の脅威に。 ノヴォロシースクのシェスハリス原油ターミナル(通常日量約70万バレルを出荷)は、8月14日のドローン攻撃を受けて稼働を停止し、接岸を予定していたタンカー1隻が沖合へと向きを変えた 。また、8月12日の大規模な攻撃では軍艦が攻撃され、ノヴォロシースクの2つの穀物ターミナルも操業停止を余儀なくされた
。
輸出能力の深刻な低下。 2026年3月下旬の最悪期には、ロシアの石油輸出能力の約40%が停止。4月初めには約20%まで回復したが、状況は依然として脆弱である 。バルト海のウスチルガ港とプリモルスク港も度重なる攻撃を受けており、ある作戦ではウスチルガの54基の貯蔵タンクのうち16基が破壊された
。
複数地域で配給制を導入。 モスクワに隣接するカルーガ州は8月15日からナンバープレートに基づく給油制限を導入。ウラル山脈地域のオレンブルク州もナンバープレートによるガソリン・ディーゼル販売を制限している。ヴォルゴグラード州は7月31日のルクオイル製油所攻撃を受け、1台あたり40リットルの給油上限を再導入した 。
給油所の長蛇の列と政府の介入。 ロシア全土で給油所に長蛇の列ができていると報告されている 。ロシア政府は製油所に対し、供給を維持するため環境基準の低い燃料の生産を許可。ノヴァク副首相は7月下旬、市場は「部分的に安定化しつつある」ものの、地域的な課題は残ると認めた
。
世界の燃料供給と価格。 この攻撃キャンペーンは、イラン戦争ですでに高騰していた世界のエネルギー価格をさらに押し上げる一因となっている 。黒海は「最新の戦略的な交易のチョークポイント」となり、世界の穀物と石油の商品フローを混乱させている
。ロシアがディーゼルやガソリンを輸出できなくなったことで、世界の精製燃料市場は逼迫し、その影響は米国でも顕著に見られる
。
外交的力学。 ウクライナのパートナー(米国および欧州同盟国)は、ゼレンスキー大統領によれば、イラン紛争による価格高騰の一因となっているとして、ロシアの石油部門への攻撃を減らすようキエフに要請した 。しかしウクライナはむしろ攻勢を強め、2026年7月には軍内に「長距離打撃」コマンドを創設し、作戦を緩和する兆しは全く見せていない
。キエフの計算は、輸出されないロシア産原油1バレルごとにモスクワの戦費が減るというものだが、世界的な価格上昇が数量減少を部分的に相殺している
。
主要な不確実性: ロシアは北極海航路への原油フローのシフトや、損傷を受けていない製油所の余剰精製能力の活用である程度は打撃を和らげることができる 。ドローン攻撃キャンペーンの長期的な持続可能性は、ロシアが精製能力を修復・移転する速度よりも、ウクライナが圧力を維持できるかどうかにかかっている。