今回の調整は単一の要因ではなく、複数のテクニカル・マクロ要因が重なりました。
利益確定売り。 シルバーは8月初旬、56ドル前半から急騰し、約7週間ぶりの高値となる66.60ドル目前まで上昇。この大幅高を受けて、H&Sパターンの目標値である67ドル近辺でショート筋の利益確定売りが優勢となりました。
今後の方向性を占う上で、注目すべきテクニカルなポイントは以下の通りです。
短期的なサポート:63.30ドル。 FXStreetは、以前のレジスタンスがサポートに転換した63.30ドルを重要な下値目安としています。ここを明確に下回ると、62.00ドルへと下落する可能性があります。
レジスタンス:66.40~67.15ドル。 シルバーは66.40ドルおよびH&Sパターンの目標値である67ドル近辺を突破できず、調整入りしました。一方、67.15ドルを明確に上抜ければ、次の強気目標は71.50ドルとなります。
短期的なテクニカルは売り優勢。 8月13日時点のInvesting.comの日足テクニカルサマリーでは、2つの買いシグナルに対し7つの売りシグナルが示されており、RSIは43.6と売りシグナル、MACDも売りシグナルを点灯。短期的には弱気の勢いが続いています。
短期的な弱気の勢いに対し、ファンダメンタルズは調整局面説を強力に裏付けています。
6年連続の構造的供給不足。 シルバーインスティテュートは2026年の供給不足を4620万オンスと予測。これは2025年から15%増加し、2021年以降の累積在庫取り崩し量は7億6200万オンスに達しており、流動性逼迫のリスクを高めています。
供給制約の継続。 世界のシルバー生産量の約70~75%は銅、鉛、亜鉛などの副産物として生産されており、価格が上昇しても生産量を迅速に増やすことが困難です。2026年の鉱山生産量もほぼ横ばいが見込まれています
。
これまでの証拠は、64ドル割れは上昇トレンドの終焉ではなく、行き過ぎた上昇後の教科書通りの利益確定売りであることを示唆しています。実際、64.20ドルでの買い戻しとその後の66ドル台への回復は、押し目買い需要の強さを示しています
。RBCの2027年のモデル想定価格は66ドルから約25%の上昇余地を示唆しており
、構造的な供給不足の拡大、供給の非弾力性、投資需要の回復は、中期的に強気の材料です。ただし、FRBの政策や地政学リスクの動向によって短期的なボラティリティは続くと見られます
。
リスク要因。 強気シナリオが有効であるためには、シルバーが63.30~62.00ドルのサポートゾーンを維持する必要があります。62ドルを明確に割り込むと、調整がより深くなり、調整局面説が弱まる可能性があります。