民間産業の縮小。非軍事部門は縮均衡を続けています。2026年上半期のロシア連邦国家統計庁(Rosstat)のデータによると、鉱業、冶金、建設資材製造などの分野は、投資需要の低迷と軍事産業への資源の優先配分により、大幅に減少しました。英ガーディアン紙などは、民間経済が資源をめぐる「戦争」で軍事部門に敗れていると報じています
。2026年上半期の鉱工業生産はわずか0.4%の増加で、そのプラスも専ら軍事部門の成長によるものです
。
石油精製が24年ぶりの低水準に。ウクライナのドローンによる製油所への攻撃が響き、ロシアの原油処理量は7月には24年ぶりの低水準に落ち込みました。7月の処理量は推定1日あたり360万バレルで、季節平均の約3分の1に減少しました
。6月は開戦以来で最高レベルの攻撃が記録され、13の製油所が攻撃を受けました
。6月16日には、モスクワ最大の燃料供給元であるガスプロムネフチのモスクワ製油所への攻撃で操業が完全に停止しました
。パイプライン施設(カスピ海パイプラインコンソーシアムを含む)への被害により、7月の石油積み出し量は最大5分の1減少しました
。8月までに、ウクライナはロシア国内の34の製油所のうち24か所(全精製能力の81%に相当)を攻撃しました
。
インフレと金融引き締め。ロシア中央銀行は、製油所の操業停止に伴う燃料価格の高騰を主因として、2026年のインフレ率を6~7%と予測しました。7月には、通年のGDP成長率予測を0.0~1.0%の範囲に引き下げました
。
政府見通しの下方修正。ロシア経済省は5月、2026年の成長率予測を従来の1.3%からわずか0.4%に引き下げました。理由として、制裁圧力と戦争による経済的負担を挙げています。国際通貨基金(IMF)は4月に2026年の予測を1.1%に上方修正しましたが、これはドローン攻撃の本格的な影響が顕在化する前の数字です
。
ドローン攻撃の激化。製油所、パイプライン、タンカーに対するウクライナの攻撃の波は収まる気配を見せず、8月に入ってもヤロスラヴリ製油所への攻撃が続いています。ロシア独立メディア「メドゥーザ」の衛星画像分析によると、攻撃によって数ヶ月間生産が停止する場合もあることが判明しています
。
エコノミストらは「停滞」を警告。複数の独立系エコノミストやシンクタンクは、今回の回復は脆弱で長続きしない可能性が高いと指摘しています。モスクワ・タイムズ紙は、軍事部門の成長自体が勢いを失い始めており、「回復はすでにピークを迎えている可能性がある」と報じています。
ロシアの第2四半期GDPは低い予想を上回りましたが、その原動力のほぼ全ては戦時支出です。表面下では、民間産業が縮小し、石油精製はウクライナのドローン攻撃により数十年ぶりの低水準に落ち込み、インフレは加速しています。政府自身の通年見通しはわずか0.4%で、新たな動員やさらなるエネルギーインフラへの攻撃などのリスクを考慮すれば、今後の見通しは大幅に下振れする可能性が高いと言えるでしょう。