長期的に見れば、アジアのテック株は2022年10月に生成AIの物語が始まって以来、実際には米国のテック株をアウトパフォームしてきた。台湾と韓国の株式市場はこの1年でそれぞれ110%と170%急騰し、新興市場指数における両国の合計ウェイトは50%を超えた
。
しかし、現在はアジアの方がより大きな打撃を受けている。半導体やチップメーカーのサプライチェーンへの直接的なエクスポージャーが大きいため、調整局面での下落幅も大きくなる。2026年7月17日には、日本と台湾の株価指数が最大6%下落。日経平均は高値から10%超下落し、調整局面入りを確認した。韓国KOSPIは6月23日に一営業日で8%超の急落を記録し、サーキットブレーカーが作動した
。フィラデルフィア半導体指数(SOX)は高値から約19%下落したが、アジアでの売りはより激しかった
。
米国は依然としてAI投資全体を支配しており、中国の23倍もの民間資本を投入し、5,427ものデータセンターを擁する(これは他国の10倍以上)。しかし、アジア市場はAIハードウェアの生産量により連動しているため、設備投資サイクルの変化に対してより敏感なのだ。
銀行株 Rally は一様ではない。いくつかの国・地域の市場が明確なリーダーとして浮上している。
ASEAN諸国の銀行。 マレーシアのマーバンクは2026年の戦略レポートで、ASEAN全域で銀行セクターを最も推奨している。具体的な銘柄として、OCBC(シンガポール)、CIMB(マレーシア)、BBL(タイ)、BBRI(インドネシア)、BDO(フィリピン)、TCB(ベトナム)などを挙げ、バリュエーションと資本管理・利回りをその理由としている。
売りを加速させたいくつかの具体的な要因がある。
設備投資(CAPEX)の持続可能性への疑念。 投資家は、巨額のAIインフラ投資が比例するリターンを生み出すのか疑問視し始めている。この懸念は、主要ハイテク企業の決算発表や2026年7月のFRB政策決定会合を前に強まった。
主要投資銀行の見解はおおむね一致しており、今回のローテーションは戦術的なものであり、構造的なものではないと見ている。
JPモルガン(2026年8月6日)は、今回の弱気相場はAI投資サイクルの終わりを示すものではないと明言。投資家は持続可能性を過度に懸念しており、根本的な減速の証拠はほとんどないと指摘する。同社はアジアのテック株のポジション維持を推奨し、テック株が集中する市場において、2026年は43~47%、2027年は23~27%の利益成長を予想している。
JPモルガン・プライベートバンク(2026年7月15日)は、韓国、台湾、中国の株式は今後12ヶ月間、依然として魅力的な投資機会を提供すると認めつつ、銀行などのディフェンシブセクターへのローテーションは、集中リスクに対する合理的な短期的対応であると指摘している。
HSBCプライベートバンク(2026年第1四半期見通し)は、2026年を「リキャリブレーション(再調整)」の年と位置づけ、投資家はグローバルなAIブームからの upside を捉えつつ、マルチアセットの分散投資を通じてポートフォリオの回復力を強化するようアドバイスしているソ。
市場全体のコンセンサスは、AIテーマは中期的には依然として intact(無傷)だが、ボラティリティの高い状態が続くというものだ。DBSシンガポールのストラテジーチームは、現在の環境を「後退ではなく、ローテーションの機会」と表現し、収益モメンタムのある大型株や金利安定の恩恵を受けるセクターへと傾斜することを提案している。
結論として、賢明なマネーは売り局面を利用して、押し目で質の高いテック株を accumulation(積み増し)しつつ、利回りとディフェンシブな安定性を求めて銀行株も買い増す、という姿勢だ。AI投資サイクルは終わっていない。しかし、「ただでは手に入らない」時代は確実に終わったのである。