これは、チャールズ・ダーウィンが1875年の著書『食虫植物』の中で、近縁のユキノシタ属について「粘着毛を持つため食虫性を持つ可能性がある」と予測してから、実に150年以上後の決定的な証明となりました。
研究チームは、植物が食虫性を持つための4つの正式な基準(誘引、捕獲、消化、吸収)を全て満たすことを、複数の証拠を用いて示しました。
現地調査と標本記録
1888年から2016年に収集された45点の植物標本のうち、43点(約96%)の腺毛に捕獲された昆虫が確認されました。捕獲されていたのは主に小型のユスリカ類で、成熟した個体では平均71匹の昆虫が付着しており、この行動が広範囲かつ長期間にわたって行われてきたことを示しています。
閉鎖環境実験
植物をメッシュやガラスの囲いの中に入れた実験では、昆虫が花から発せられる匂いに積極的に誘引されていること、つまり単に偶然に止まったわけではないことが確認されました。
消化酵素の検出
腺毛において、捕獲した獲物を分解する消化酵素(ホスファターゼ)の活性が確認されました。
安定同位体分析
植物組織内の窒素同位体比が昆虫由来の窒素のシグネチャーと一致し、植物が消化した獲物から栄養を吸収していることが証明されました。研究チームはさらに、同位体標識を施したショウジョウバエを植物に与え、窒素-15が直接植物に移行する経路を追跡しました。
遺伝子比較
ゲノム解析により、S. candelabrum は他の既知の食虫植物と共通する遺伝子(獲物の誘引や消化に関わる遺伝子など)を持っていることが判明しました。
この植物の食虫性は、派手なハエトリグサやウツボカズラとは対照的に、非常に繊細です。
食虫植物が自身の花粉を運んでくれる昆虫(花粉交配者)まで捕食してしまう「花粉交配者と餌の対立」は深刻な問題です。S. candelabrum は、この問題を回避する巧みな戦略を進化させています。
研究チームのメンバーであるHang Sun氏は、「この植物は小型の昆虫だけを標的とし、大型の花粉交配者を安全に保っている」と説明しています。
この発見は、食虫植物の世界に新たな視点をもたらします。
主要論文: 本研究は Nature Communications (2026) に掲載されました。DOI: 10.1038/s41467-026-75288-y 。