Discovery Loopは**パブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)**として登記され、AIに科学研究の実験サイクル全体――仮説立案、実験設計、大規模実行、結果分析、反復――を人間の介入を最小限にして自動化させるシステムの構築を使命とする。
同社は「高出力アルゴリズム」を用いて数千もの実験を同時並行で開始・反復し、創薬、材料科学、チップ設計などの分野で飛躍的な進歩を目指すとしている。
創業者たちはウェブサイトでこう宣言している。「ごく少数の人間が、現在の大規模な科学者・エンジニアチームよりもはるかに速く、高品質で科学研究やエンジニアリング業務を遂行できる未来を想像してほしい」。
4人の幹部を失いながらも、Alphabet(Googleの親会社)は創業投資家としてDiscovery Loopに出資し、少なくとも初年度はクラウドコンピューティング資源を提供する。サンダー・ピチャイCEOはディーン氏を「27年にわたる素晴らしい活躍」と称え、友好的な別れであることを強調した。
シードラウンドはRadical VenturesとKhosla Venturesが共同リードし、Lightspeed、Kleiner Perkins、Doerr Capitalなどが参加している。
4人の創業者がGoogleに残した足跡は計り知れない。彼らの在籍年数は合計で約100年に及び、現代のGoogle、ひいてはインターネットそのものを支える基盤システムの多くを構築してきた。
4人の同時退社はGoogleのAI部門の士気を大きく揺るがし、激化するAI人材争奪戦の中で、同社が優秀な頭脳を引き留められるのかという新たな疑問を投げかけている。
Discovery Loopの賭けは極めて野心的だ。科学研究の反復サイクル(仮説→実験→評価→反復)を、人間の手を借りずに機械の速度で並列実行し、完了までの期間を数ヶ月・数年から数時間・数日に短縮しようというのだ。
まずは機械学習研究とエンジニアリングの自動化に集中し、その後、他の科学分野へ拡大する計画である。
ただし、創業者たちも認める通り、現時点ですべての科学をデジタル化できるわけではない。実験ループを計算機上で実行可能な領域からスタートし、徐々に範囲を広げていく方針だ。
また、AIを使ってより強力なAIを生み出す「再帰的自己改善」も視野に入れており、究極的には人間の反復作業をループから完全に排除することを目指している。