DeepSeekは、北京から北西約350kmに位置する内モンゴル自治区ウランチャブ市に、1ギガワット(GW)規模のAIデータセンターキャンパスを計画している。この施設は、自社所有のインフラと近隣事業者からのリース容量を組み合わせて運用される見通しである。少なくとも一部の容量は2027年末から2028年初頭にかけて稼働開始を予定している。ウランチャブは中国政府の「東数西算」(東部データ・西部コンピューティング)イニシアチブの拠点として確立されており、安価な電力と冷却コストを削減できる寒冷な気候が立地の決め手となっている。このプロジェクトはDeepSeek初のハイパースケール級キャンパスであり、これまでの他社からの借り受けやレンタルに依存した計算クラスターからの大きな転換点を示す。
2026年7月、ReutersはDeepSeekが独自のAI推論チップの開発に着手したと報じた。このチップはトレーニングではなく、データセンターでの推論ワークロードに特化している。目標は、米国の輸出規制が先端半導体へのアクセスを厳しくする中で、NVIDIAとHuaweiへの依存を低減することにある。DeepSeekは約1年にわたり、チップ設計、受託製造、メモリー各社と協議を重ねてきた。この取り組みは、米国が2026年6月時点でDeepSeekをエンティティ・リストに追加することを見送ったものの、将来的なブラックリスト化の脅威が依然として残る中で進められている。注目すべき点として、2026年2月に米政府当局者は、DeepSeekが最新モデルを輸出規制対象のNVIDIA Blackwellチップでトレーニングした可能性があると主張し、そのチップは内モンゴルのデータセンターに設置されている可能性を指摘している。
2026年8月6日、DeepSeekは**「DeepSeek APIサービスの包括的な価格引き上げ」を正式に発表。その規模は「大幅」**と表現され、開発者に対して使用量の調整を促している。この値上げは爆発的な需要によるものだ。V4 FlashモデルはOpenCodeプラットフォーム上で1日あたり最大8兆トークンを消費した。OpenRouterでは、7月27日までの週にV4 Flashが7.22兆トークンを処理した。値上げ前の価格は、V4 Flashが入力/出力100万トークンあたり0.14/0.28ドル、V4 Proが0.435/0.87ドルである。同社はすでに、北京時間の1日2回のピーク時間帯に2倍のサージプライシングを導入しており、従来の定額制からの構造的な転換を示している。
DeepSeekは、**上海証券取引所の科創板(スター・マーケット)**へのメインランドIPOを計画しており、今回の評価額約7.4兆円の資金調達ラウンドは、IPOに向けたプレIPO資金調達として位置づけられている。同社は、上場を見据え、インフラ、チップ、研究開発への資金調達 efforts を加速させている。具体的なIPOの時期は公表されていないが、全体的な資金調達戦略は、中国本土でのIPOの準備段階として進められている。
これら一連の動きは、DeepSeekの根本的な方針転換を示している。すなわち、少数精鋭で効率を追求するAIラボから、自社データセンターを建設し、自社チップを設計し、数百億ドルものエクイティを調達し、株式公開を準備する資本集約型の垂直統合AIインフラ企業へと変貌を遂げているのだ。これはすべて、現在の計算能力をはるかに超える需要に直面しながら進められている。APIの値上げは、従来の超低価格戦略が現在の利用量では持続不可能であることを示す最も明確なシグナルである。ある分析が指摘するように、DeepSeekは「価格競争に勝ち、自らの需要に押し潰されている」のである。