しかし会議は、戦略石油備蓄(SPR)の放出で合意するには至らなかった。G7高官は「備蓄をまだ放出しないという幅広い合意があった」とし、フランスのロラン・レスキュール財務相は「我々はまだその段階にない」と述べた。G7は声明で「必要な措置を講じる用意がある」としつつ、即時の備蓄放出は見送った。翌3月10日、G7エネルギー相はIEAに対し、今後の協調備蓄放出に向けた状況評価と選択肢の検討を要請した。
国際エネルギー機関(IEA)は、今回の混乱を「歴史上最大の石油供給ショック」と位置づけ、生産・輸送・在庫の全段階に波及していると警告した。
IEAの3月石油市場報告書によると、世界の石油供給は前月比で1010万バレル/日も急減し、月間ベースで過去最大の供給途絶を記録した。OPECプラスの生産量だけで月間940万バレル/日減少し、4240万バレル/日に落ち込んだ。湾岸産油国は2026年6月時点で約1400万バレル/日の生産を喪失。米州(アメリカ、ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラ)の増産で一部を相殺するにとどまっている。
IEAは2026年の世界石油供給が需要を日量390万バレル下回ると予測。戦闘により在庫が「前例のないペース」で取り崩されていると警鐘を鳴らした。
ホルムズ海峡は2月28日以降、事実上の封鎖状態にあり、世界の石油・ガス供給の約20%が遮断されている。米軍は2026年4月中旬から5月下旬にかけて初めてイラン港湾の海上封鎖を実施。イランの原油輸出は日量約200万バレル減少し、原油は洋上貯蔵を余儀なくされた。
停戦崩壊後の7月には、より厳格な第2次の全面海上封鎖が再導入された。封鎖範囲はイラン全海岸線、全港湾・石油ターミナルに及び、船舶の旗の種類を問わず対象となった。再封鎖初日、ホルムズ海峡を通過した船舶はわずか9隻。米軍機はイラン最大の原油輸出基地であるハルグ島に向かうタンカーを無力化した。
原油価格は2026年3月初旬に1バレル=100ドルを突破し、2022年以来の高値を記録した。7月に米国がイラン全面封鎖を発表すると、価格はさらに9%上昇し、1カ月ぶりの高値をつけた。
IEAは、たとえ停戦が成立しても生産ルートと航路の再開には数週間から数カ月を要すると警告。今回の事態は「恐怖による投機的な価格高騰ではなく、真の供給不足」だと指摘した。