本稿では、この歴史的な介入の背景、市場への影響、そして今後の見通しを詳しく解説する。
円は2026年に入り、米国の高金利と日本の低金利の差(いわゆる金利差)を背景に長期にわたって下落していた。7月に入ると、イラン戦争に伴うエネルギーショックが日本の輸入コストを押し上げ、さらに円安を加速させた。円はついに1ドル=164円目前まで下落。これは1986年以来、約40年ぶりの水準だった。
日本政府は数週間にわたり「断固たる措置」を示唆していたが、単独介入では効果が限定的であることが明らかになりつつあった。そこで、日米は2025年9月に署名した「日米財務相共同声明」に基づき、協調介入に踏み切った。
両政府は、投機的な圧力が再燃した場合にはさらなる行動を辞さないという強い姿勢を示した。
米国が介入に参加した理由は、単なる同盟国支援にとどまらない、複合的な要因があった。
この一連の動きは、2025年9月の日米財務相共同声明に基づくものだった。
介入の規模は極めて大きかった。日銀のデータによれば、日本は7月30日(木)の1日だけで最大590億ドル相当の円買い介入を実施した可能性がある。
アナリストは、この介入によって「1ドル=160円」が実質的な防衛ラインとして市場に強く意識されるようになったと評価している。
介入の効果を踏まえ、バンク・オブ・アメリカ(BofA)は8月5~6日にかけて、2026年末のドル円予想を従来の152円から149円へと急激に下方修正(円高方向)した。これは、介入時の水準(約158円)から約6%の円高を見込むものだ。
BofAは、日米の協調介入によって「日本の介入能力に対する最大の制約(foreign-exchange reserves constraint)が取り除かれた」と指摘。また、日本銀行(BOJ)が9月にも追加利上げに踏み切るとの観測が、円高をさらに後押しするとの見方を示した。
両政府は、為替レートは投機的な取引ではなく、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映すべきだとの立場を改めて強調した。
片山財務相は「今回の協調行動は、過度な変動と無秩序な為替動きに対抗するものだ」と述べ、ベッセント長官は「介入は市場に対して、我々の許容範囲の限界を知らせる強力なシグナルを送ることができる」と語った。
円が急騰したとはいえ、多くの投資家はこの動きが持続可能かどうかについて慎重な姿勢を崩していない。
今回の介入は、日米の通貨協力における歴史的な転換点となった。