MITの物理学者たちが、まさに目を疑うような現象を捉えた。1つの材料の中で、2つの競合する電子の「相(フェーズ)」が、レーザーでかき乱された後、それぞれ全く異なる方法で自らを再構築する瞬間を、リアルタイムで観察することに成功したのだ。この発見は、2026年8月7日付の科学誌『Nature Physics』に掲載され、超伝導現象の背後にある複雑な電子の振る舞いを解明する新しい手段を提供するだけでなく、将来の量子デバイス設計に新たな指針を与える可能性を秘めている![]()
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研究の主役は「エルビウム三テルル化物(ErTe₃)」という希土類化合物だ。この材料を極低温まで冷却すると、電子が自発的に原子格子全体にわたって整然と波打つようなパターン「電荷密度波(CDW)」と呼ばれる状態を形成する。特筆すべきは、ErTe₃ではこのCDW相が2種類、同時に存在する点だ。このような複数の電子秩序が競合する現象は、高温超伝導体を含む多くの量子材料で見られ、これらの秩序がどのように相互作用するかを理解することが、その振る舞いを制御する鍵となる
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2つの全く異なる再構築メカニズム
MITのヌー・ゲディク教授(物理学)率いる研究チームは、「ポンププローブ法」という手法を用いた。まず超高速レーザーパルスでErTe₃試料に「刺激」を与え、2つのCDW相を瞬間的に崩壊させる。その後、別のレーザーパルスでその後の様子を観察し、電子がどのように再組織化していくかを追跡した
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その結果、全く予想外の現象が明らかになった。
- 主要なCDW相(優位な相) は、古典的な連続的(二次の)相転移のように、均一かつ徐々に再構築された。これは、液体の水が蒸発して水蒸気になるプロセスに似ている
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- 副次的なCDW相(劣位な相) は、これとは根本的に異なる過程で再構築された。電子はまず、材料内に孤立した**ナノメートルサイズの秩序の「種」**を形成する。そしてそれらが時間とともに拡大し、互いに融合することではじめて、元の相が完全に回復したのだ。この「核生成と成長」とでも呼ぶべき挙動は、水が凍って氷になるプロセスに例えられる。理論的には予測されていたものの、このような文脈で直接観測されたのは初めてのことだ。