ただし、CPCAの数字は中国国内販売と輸出の両方を含む「卸売」ベースである点に注意が必要だ。アナリストからは、この好調な数字の大部分は輸出向けであり、中国国内の小売需要は見出しが示唆するほど強くなかった可能性が指摘されている。
テスラの7月の欧州新車登録台数(販売の代理指標)は、市場によって極端な差が出た。好調だった2市場があった一方、他の5市場では急激な落ち込みが見られた。
| 国 | 2026年7月 前年同月比 | 出典 |
|---|---|---|
| フランス | +86% | |
| デンマーク | +52% | |
| ノルウェー | −97% (事実上の壊滅) | |
| スペイン | −81% | |
| スウェーデン | −60% | |
| イタリア | −77% | |
| ポルトガル | −69% |
この対比は極めて鮮明だ。フランスとデンマークはEV市場の勢いと、補助金制度の前倒し需要などの要因で急増した。一方、北欧や南欧の市場では劇的な減少が見られ、その背景にはマスク氏の政治的ブランドと、変化する消費者心理があるとみられている。
2026年7月の 「Electric Vehicle Intelligence Report」 は、EU全27カ国の消費者1861人を対象に、2026年7月16日から21日にかけてオンライン調査を実施した(誤差範囲±2.3ポイント)。この調査により、イーロン・マスク氏の政治活動がテスラのブランドに与える悪影響は、BYDと中国政府の結びつきがBYDに与える悪影響よりもはるかに大きいことが明らかになった。
主な調査結果:
2026年7月30〜31日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、テスラとスペースXの将来の合併に備え、テスラ経営陣が中国事業の分離(スピンオフ、売却、閉鎖の可能性)の準備を指示されたと報じた。テスラのアドバイザーは中国事業売却を含む選択肢を検討していたとされる。
これに対し、イーロン・マスク氏はX(旧Twitter)で「全くのでっち上げだ」と一蹴。 このアイデアは「議論に上がったことすらない」と述べた。テスラ中国も別途、この報道を「虚偽の情報」として否定した。
否定にもかかわらず、アナリストらは、この報道自体が中国の消費者や合弁パートナーに不確実性を与え、テスラと中国規制当局との関係に緊張をもたらし、中国市場におけるテスラの長期的なプレゼンスに対する消費者の信頼を損なうことで、テスラの中国販売と事業に悪影響を及ぼす可能性があると警告した。
2026年7月のテスラを巡る状況は、工場の生産能力は強固だが、地政学的リスクとブランドセンチメントによって需要の構図がますます複雑化していることを示している。もはや工場の拡大だけでは解決できない課題が浮き彫りとなった。