この流れは「原油安→インフレ期待低下→長期金利低下→株価のバリュエーション正当化」というロジックが一気につながった形だが、市場関係者の間では「楽観はまだ脆弱だ」との見方も根強い。
では、合意に至りつつある「ホルムズ海峡再開」の中身はどのようなものか。複数の報道を総合すると、以下の通りである。
骨子:
当事者:米国とイランが主役。オマーンが主要な仲介役。カタールも並行して仲介に関与している。
合意には依然としてハードルがある。イラン国営メディアは情報筋の話として、「米国がイランへの脅迫を続ける限り、合意は遅れる」と報じた。また、イランのアラグチ外相は海峡が「戦前の状態には決して戻らない」と主張しており、再開条件には条件が付くとみられる。先月も14項目の了解覚書(MOU)が破綻したばかりで、交渉の脆弱さを物語っている。
今回のドル安は、ホルムズ合意観測単独のものではない。前週には米・日によるドル/円への協調介入が行われ、さらにケビン・ウォーシュFRB議長のもと、利上げに消極的なFRBの姿勢が重しとなって、ドルインデックスはすでに7週間ぶりの低水準である99.42近辺に落ち込んでいた。そこにホルムズ合意観測が加わり、リスクオンの流れが決定的となった。
ホルムズ再開への期待は、リスク資産を押し上げ、原油価格を打ち砕き、ドルに新たな下押し圧力を加えた。しかし、それが60日間の暫定措置であり、イランが公に条件を提示している以上、市場が織り込んでいるのは「持続可能な解決」ではなく「脆弱な楽観」である。短期的にはリスクオンが続く可能性があるものの、合意が暗礁に乗り上げれば、再び市場は大きく揺れ戻される可能性もある。