全タイプのミサイル発射数は376発に達し、これは6月の2倍以上で、全面戦争開始以来の月間最多記録となった。弾道ミサイルは防空システムによる迎撃が最も困難なカテゴリーであり、その発射数の急増は、ウクライナのパトリオット迎撃ミサイル不足と直接的に相関している。
2026年8月5~6日、ロシアはキーウとその周辺地域に対し、イスカンデルM弾道ミサイル24発、ジルコン/オーニクス対艦ミサイル4発、そして115機のドローンを同時に使用した大規模攻撃を仕掛けた。この攻撃で少なくとも17人が死亡、44人が負傷した。ウクライナ空軍は、この攻撃で使用された弾道ミサイルを1発も迎撃できなかったと発表している。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、2026年の同盟国からの迎撃ミサイル供給量が2025年の3分の1にまで落ち込んでいることを認めた。さらに、ウクライナは事実上パトリオット迎撃ミサイルを使い果たしたと率直に述べている。
この迎撃ミサイル不足は、この夏の戦況を如実に物語っている。7月6日の攻撃では23発の弾道ミサイルがキーウに着弾し、迎撃はゼロだった。8月1日の攻撃では9人が死亡し、27発の弾道ミサイルのうち迎撃できたのはわずか1発だった。
ウクライナは2025年後半から、一貫したSEAD/DEAD(敵防空網制圧/破壊)作戦を展開している。2026年の最初の5ヶ月間だけで、ウクライナの無人機部隊はロシアの防空関連目標174基(地対空ミサイルシステム、レーダー基地、電子戦装備を含む)を攻撃した。無人機システム軍は、これらのロシア側の損失総額は**54億ドル(約8100億円)**を超えると推定している。
この作戦はロシアの多層防御に**脆弱な「隙」**を作り出し、より深部へのウクライナ軍の攻撃を可能にした。このことが、2025~2026年の冬以降、前線でのウクライナ軍の戦術的成功にも貢献している。
ウクライナによる長距離ドローン攻撃は、ロシアの精製インフラを組織的に破壊してきた。その対象はロシア最大の製油所10カ所のうち9カ所に及ぶ。2026年7月初旬時点で、ロシアの原油処理量は1日391万バレルまで低下。これは2005年3月以来の低水準である。7月の月間平均はさらに落ち込み、推定360万バレル/日となった。これは2002年5月以来の低水準であり、季節平均を約3分の1下回る数字だ。
モスクワは、深刻化する国内燃料不足に対応するため、ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料の輸出を禁止せざるを得なかった。国際エネルギー機関(IEA)の報告によれば、ロシアの原油生産量は4月に前年同月比で46万バレル/日減少しており、5月までに影響を受けた精製能力は合計70万バレル/日を超えている。
今回の情報収集では、冬の見通しに関する包括的な分析は得られなかったものの、入手可能な証拠からは以下のような重要な力学が浮かび上がってくる。
ロシアにとっての好機は「今」である。 モスクワが弾道ミサイル攻撃を急増させているのは、まさにウクライナの迎撃ミサイル備蓄が危機的なまでに減少しているという「好機」を捉えているからに他ならない。もしウクライナが冬までにパトリオットなど弾道ミサイル迎撃用のミサイルを補充できなければ、ロシアによるエネルギーグリッドや都市への攻撃は、2025年の冬よりもはるかに破壊的なものになる可能性が高い。
ウクライナの「深部攻撃」の重要性は増している。 SEAD/DEAD作戦はロシアの防空網に穴を開けつつあり、製油所への攻撃はすでにロシア経済に持続的な打撃を与えている。もしウクライナがこの攻勢を維持できれば、ロシアが冬の攻勢に必要な燃料を確保する能力を削ぐことができるだろう。
迎撃ミサイルの供給格差は、最も決定的な変数である。 2026年の同盟国からの供給量は2025年の3分の1に過ぎない。この不足が解消されるかどうか――新たなパトリオットの移転、NASAMSやIRIS-T、SAMP/Tといった代替システムの供与、あるいは何らかの暫定措置――によって、ウクライナが冬の暖房シーズンに重要なインフラを防衛できるかどうかが大きく左右されることになる。