7月28日には、フーシ派は紅海で別のサウジ石油タンカー「NCCガザル(NCC Ghazal)」に対して弾道ミサイルを発射し、同船が封鎖を破り警告を無視したと主張した。同派は、サウジの港湾を使用するすべてのタンカーに攻撃を拡大する方針を示唆。海運業界はこの警告を深刻に受け止め、7月22日にはすでに中国向けとインド向けのサウジ原油を積載していた2隻のタンカーが即座に進路を反転し、バブ・エル・マンデブ海峡を通過するリスクを避けてスエズ運河方面へと引き返した。この週、紅海で合計5隻のタンカーが航路を変更している。
7月25日、フーシ派はサウジアラムコのジャーザン(Jizan)製油所を攻撃して炎上させ、同時に、サウジアラビアの東西パイプラインが唯一機能している輸出経路であるヤンブー(Yanbu)輸出ターミナルを攻撃した。サウジ当局はミサイルと無人機の一部を迎撃したと確認したが、AFPが検証した映像にはジャーザンの施設から黒煙が立ち上る様子が捉えられている。
7月26日から27日にかけて、フーシ派は東部サウジの油田とヤンブーを結ぶ「機密性の高い原油供給・輸送拠点」に対してミサイルと無人機による攻撃を行い、アラムコの紅海インフラをさらに標的にした。7月28日までに、アラムコは日量40万バレルの処理能力を持つジャーザン製油所の操業停止を余儀なくされた。同製油所のガス化複合発電施設と石油貯蔵エリアが被害を受けたためである。アラムコは修理を完了し、8月15日までに再稼働を開始する計画と報じられている。
8月4日、フーシ派はサウジアラビア南部のナジュラーン空港(Najran Airport)にある「機密性の高い標的」への無人機攻撃を主張した。これは、サウジがイエメン北部に無人機を侵入させたことへの報復だとしている。AFPなどが地域筋の話として伝えたところによると、空港の主要レーダーが損傷し、運営は無期限で停止された。ロイター通信などは、サウジ当局から即座の確認は得られていないと報じている。
イランは2026年3月4日、ホルムズ海峡の「閉鎖」を宣言し、以降、通過しようとする船舶を攻撃している。世界の原油・石油製品取引の約27%、LNG取引の20%がこの海峡を通過する。2026年6月時点で、海峡は事実上閉鎖されている。保険の入手が不可能か法外な値段になり、船員が航行を拒否しているためだ。米国エネルギー情報局(EIA)は、中東からの石油供給減少が2026年5月に日量1080万バレルでピークに達し、世界の在庫が急減すると予測した。ブルームバーグは、海峡閉鎖により世界の石油流通量が日量約1100万バレル減少し、約900万バレルの不足が生じていると試算。これは英国、フランス、ドイツの石油消費量を合計したよりも多い。
フーシ派の攻撃により、戦争は第二の主要海運チョークポイントであるバブ・エル・マンデブ海峡にも拡大し、同時並行の二重チョークポイント危機が発生した。7月下旬までに、海運ルートは「ますます制約され」、エネルギーインフラが直接攻撃を受け、輸入業者は戦前において世界の石油・LNG輸出の5分の1を占めていたこの地域からの調達を避け始めた。ロイターの計算によると、2026年4月中旬までに、イラン戦争開始以降、すでに500億ドル相当以上の原油が失われた。湾岸諸国とサウジ西海岸からの合計輸出量は、7月下旬には日量約620万バレルまで減少。これは6月下旬に記録した戦時中のピーク(日量1340万バレル)の半分以下であり、戦前にこの地域から出荷されていた日量2000万バレル超をはるかに下回る。
フーシ派によるサウジへの海上封鎖は、タンカーへのミサイル・無人機攻撃によって執行され、サウジ船籍の船舶にとってバブ・エル・マンデブ海峡は事実上、高リスクの通過地帯となった。同時に、サウジの東西パイプラインの紅海側出口であるヤンブー輸出ターミナルへの攻撃は、サウジが西側への輸出によってバブ・エル・マンデブ海峡を迂回する能力を著しく制約した。アナリストはこの状況を「完全な罠」と表現する。すなわち、サウジは東への輸出ルート(ホルムズ海峡、イランに封鎖)も西への輸出ルート(バブ・エル・マンデブ、フーシ派に封鎖)も容易に使えず、残るヤンブー輸出回廊も直接攻撃にさらされているのである。
8月4日のナジュラーン空港への無人機攻撃は、同空港の運航を無期限の停止に追い込んだ。AFPなどが地域筋の話として伝えたところによると、空港の主要レーダーが損傷し、施設は使用不能となった。この攻撃により、サウジ南部の主要都市にサービスを提供する民間空港が実質的に閉鎖され、広範な混乱に航空分野の側面が加わった。8月5日時点では、サウジ当局によるレーダー損傷や閉鎖期間の独立した確認は得られていない。
重要な留保点: サウジアラビアは、7月22日のタンカー攻撃や8月4日のナジュラーン攻撃を含む、これらの攻撃のいくつかを即座に確認していない。損害や影響に関する報告の一部は、サウジ政府の公式発表ではなく、地域筋やフーシ派の主張に基づいている。