しかし、イランのバガエイ外務省報道官は、テヘランはオマーンとのみ協議しており、「まだ米国との対話を再開していない」と繰り返し強調しています。この違いは重要です。イランは協議を二国間の海上管理問題と位置づける一方、ワシントンはそれを米イラン戦争終結への道筋と見なしています。
米政府高官は、外交的な自信を強めています。ルビオ国務長官は8月4日、進展があり、米国も交渉に関与していると述べました。ベッセント財務長官は、合意は「今日か明日にも」成立し得るとまで言及しました。トランプ大統領自身も、今回の協議をイランにとって「最後のチャンス」と呼びました。
同時に、米国は強い圧力を維持しています。7月中旬、ワシントンはイランに対し、海峡が「安全で航行可能である」と公に宣言するよう最後通牒を突き付けました。トランプ大統領は7月中旬にイランへの海上封鎖を再開し、海峡を通過する全物品に20%の関税を課すと脅しました。このメッセージは意図的に矛盾しています。米国は合意への姿勢を示しながらも、軍事オプションを完全にテーブルに残しているのです。
外交の核心は、次の二つの提案の衝突です。
オマーン(湾岸諸国が支持)の案:海峡の共同地域管理機構を設立し、通過料はイランの要求する「義務的」なものではなく「自主的」なものとします。湾岸諸国はこのアプローチを支持しています。
イランの対抗案:イランに大きな支配権を与える一時的な取り決め。一方の交通はイラン領海を通過し、反対方向の航路の一部もイラン領海を通過するというものです。イランのガリーババディ外務次官は、長期的な地域の安定が達成されない限りイランの安全保障上の懸念に対処できないとして、オマーンの共同監視提案を拒否したと認めています。
金銭面も主要な争点です。イランは船舶の通過サービス料を求め、その収入をイランとオマーンで分割する構想ですが、分割比率の具体策は未定義です。オマーン案は料金を「自主的」とする一方、イランは「義務的」なものと主張しています。
テヘランは海峡再開の条件として、制裁緩和、安全保証、自国の海洋権限の承認、そして米国の海上封鎖の解除など、より広範な要求も掲げています。
外交的なシグナルは原油価格を乱高下させています。8月3日、トランプ大統領が予定していた攻撃を見送り協議入りを示唆したことを受け、ブレント先物は4.08ドル(4.64%)下落し83.85ドル、WTIは約5%下落し80ドル近辺で引けました。8月4日には原油は約1%反発しましたが、アナリストは技術的・政治的な溝が解消されていないことから、本当の決着にはまだ懐疑的な見方を維持しています。
ティックミルのジョセフ・ダリエ分析師はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、イランは「オマーンとの合意に近づいている」としつつも、イランが米国との直接交渉を否定していることが市場の安心感を制限する可能性があると指摘しました。8月5日までに、ブレント原油は1バレルあたり約79ドルで取引されました。
外交努力の傍らでは、軍事的な緊張も続いています。米国は6月のエスカレーションを受け、イランの海峡掌握を終わらせるべく攻撃を再開しました。米国は同盟国に海峡再開への協力を呼びかけています。トランプ大統領は、海峡でイランが一隻の船舶を標的にするたびに、米国はイランの橋や発電所などのインフラを爆撃すると警告しています。
人的被害は増大しています。2026年4月にイランが完全閉鎖を宣言して以来、商船の運航は深刻に混乱し、複数の船舶への攻撃が発生しています。イラン革命防衛隊(IRGC)は、許可されていない船舶を攻撃した後、7月11日に海峡を「追って通知があるまで」閉鎖すると宣言しました。国際海事機関(IMO)は4月21日、この閉鎖により約2万人の船員と2000隻の船舶が影響を受けていると報告しています。取り残された船員たちの人道的状況は深刻化しています。
副次的な動きとして、イランは海峡の機雷除去作業に関し、欧州の支援を受け入れる用意があることを示唆していますが、正式な合意には至っていません。
外交プロセスは重大な岐路に立たされています。イランとオマーンは技術的な枠組みで確かな進展を遂げましたが、オマーンが提案する自主的料金・共同管理モデルと、イランが求める主権的管理と義務的料金の間にある根本的な隔たりは、依然として埋まっていません。米国は公には楽観的ですが、軍事行動をちらつかせ続けており、テヘランはワシントンと直接交渉していないと主張しています。原油市場は合意への期待をいくらか織り込みましたが、アナリストは最終合意はほど遠いと見ています。ベッセント財務長官らが示唆するように、今後48~72時間が、海峡の再開か、あるいは紛争の更なる激化かを決定づけることになりそうです。