しかしこの計画は、発表からわずか72時間で完全に瓦解した。世界中から猛烈な反発が巻き起こり、インファンティーノ会長の就任以来、最も深刻な統治危機を招いている。
FFE計画は、FIFAのメディア権、スポンサーシップ、チケット販売、ホスピタリティ、ライセンス事業などを新たな子会社に統合するものだった。そのモデルは一部、F1(フォーミュラワン)に着想を得ていたとされる。FIFAは、211の加盟協会への承認を得る前にこの計画を公表したが、結局、投票にかけられることはなかった。
反対の動きは、即座に、そして組織的に広がった。
UEFAの即時反発
欧州サッカー連盟(UEFA)は、この計画は「FIFAが売るべきものではない」と断じ、「卑劣で密室的な取引」だとインファンティーノ会長を非難。55の加盟国がFIFAの大会をボイコットする方針を固めた。
複数大陸連盟の反対
FIFA傘下の6つの大陸連盟のうち、欧州(UEFA)、北中米カリブ海(CONCACAF)、アジア(AFC) の3連盟が正式に反対を表明した。CONCACAFは会長の「深刻なガバナンスの失敗」を指摘し、FIFAのリーダーシップを徹底的に見直すよう要求した。
FIFA内部からの離反
インファンティーノ会長の上級顧問を務めていたカルロス・コルデイロ氏が辞任。FIFAの最高執行責任者(COO)ケビン・ラムール氏はFFEを「ある一人の人間のプロジェクト」と表現し、組織内で適切に議論されていなかったことを示唆した。
世界的な反発とガバナンス問題
批判の声は、サッカーの「王冠」とも言えるW杯の商業権をプライベートエクイティ、しかもクシュナー家と関係の深い企業に売却することの不透明性と不適切さに向けられた。イギリスのアンディ・バーナム首相やラ・リーガのハビエル・テバス会長は、インファンティーノ会長の辞任を要求した。
7月31日、インファンティーノ会長は計画の撤回を発表。「このプロジェクトは、支持の度合いに関わらず、FIFAの目標と相容れない分裂を生み出した」と説明した。
この失態は、インファンティーノ会長の指導力に深刻な打撃を与えている。
UEFAの信任喪失
UEFAは「FIFAの現指導部への信任を失った」と公式に宣言。会長の将来について「いかなる選択肢も排除すべきではない」と述べ、法的措置も検討している。
辞任要求の高まり
イギリス首相やスペインのリーグ会長に加え、FIFA内部からも会長の退任を求める声が強まっている。
再選への暗雲
インファンティーノ会長は2027年春のFIFA総会での再選を目指していたが、今回の騒動でその見通しは完全に暗転した。その失墜の速さは「異例」と評されている。
ガバナンス改革の要求
CONCACAFなどは、FIFAの意思決定プロセスを徹底的に見直すよう要求している。
疑惑の浮上
一部メディアは、インファンティーノ会長自身がこの取引から「数千万ドルもの個人的利益を得る可能性があった」と報じており、利益相反への疑念がさらに強まっている。
インファンティーノ会長は2026年8月初旬時点でなお会長の座にあるが、その立場は大きく弱体化しており、主要なサッカー機関は次の総会までの間に彼の影響力を制限、あるいは排除しようと動いている。