スペースXが発表した2026年第2四半期(4~6月)の業績は以下の通り。
スペースXは現在、3つのセグメントで事業を報告しており、それぞれが全く異なる収益構造と課題を抱えている。
StarlinkはスペースXの屋台骨であり、全収益の過半数を稼ぎ出すと同時に、唯一のプロフィットセンターとして機能している。
この部門は元々イーロン・マスク氏が設立したxAIが前身で、GPUクラスターなどのAI計算能力を他社に貸し出すビジネスだが、インフラ投資がかさみ、収益化にはまだ時間がかかるとみられている。
これは最も成熟した事業だが、ロケット打ち上げビジネスは受注案件に依存するため、成長率は他の2部門に比べて緩やかだ。
なお、総契約 backlog(受注残高)は475億ドルに達している。
スペースXは2026年6月12日、857億ドルを調達する記録的なIPOをナスダック市場で実施し、1株当たり135ドルでデビューした。株価は取引開始から間もなく、6月中旬には一時225ドルまで急騰し、同社の時価総額は2.6兆ドルを超えた。
しかし、その後は急反落。決算発表時点では約107~113ドルで推移しており、IPO価格さえも下回る状態が続いている。この下落により、ピーク時から時価総額は約8000億ドルも吹き飛んだ計算になる。
下落要因としては、AI関連株全般への警戒感の高まり、AI部門の巨額な設備投資に対する懸念、ロックアップ解除による需給悪化への警戒、地政学的リスクなどが指摘されている。モーニングスターはIPO前にスペースXの適正株価を63ドルと評価しており、これはIPO価格を53%下回る水準だった。
スペースX株にとって、決算以上に重要なイベントがロックアップ解除だ。8月6日、IPO時に課された最初の売却制限が解除され、9.115億株(決算発表前の株価ベースで約1160億ドル相当)が市場で自由に売却可能となる。これは市場史上最大級のロックアップ解除規模とされる。
6月12日のIPO時点では、スペースXの発行済み株式総数(約132億株)のうち、市場に流通するのは5%未満だった。しかし、今回の解除を皮切りに、年内は段階的に最大13.7億株が売却可能となり、流通株式数は現在の5%未満から約40%にまで急増する見通しだ。既に株価はIPO以来の安値圏で推移しており、この需給悪化が更なる下押し圧力になる可能性が懸念されている。
複数のアナリストは、スペースXが抱える構造的な課題として、3つの事業の性質があまりにも異なる点を指摘している。ロケット打ち上げ事業は設備集約型で安定収入が見込める一方、AIインフラ事業は成長性は高いものの、キャッシュを食いつぶす「火の玉」であり、機器投資は前期比で倍増している。
こうした状況から、一部のアナリストはスペースXを「アイデンティティ・クライシス(自社の事業定義の危機)」にあると評する。投資家は、防衛・宇宙企業、通信公益企業、投機的なAIインフラ企業のいずれのバリュエーションを適用すべきか判断に迷い、明確な評価が難しくなっているという。
スペースXは今回、上場後初めて年間の業績ガイダンスを上方修正したが、市場が様々な材料を消化する中で、株式は時間外取引で上げ幅を縮小した。
今後の焦点は、決算発表後のロックアップ解除でどれだけの売り圧力が発生し、株式需給がどのように変化するかに移っている。