Spotifyの四半期業績は、加入者数の伸びが予想を上回った一方で、収益性の面ではアナリストコンセンサスに届かなかった。
第3四半期の売上高とプレミアム会員数の見通しは概ねコンセンサスに達したものの、MAUと営業利益の予測が市場予想を下回った。
同社はMAU見通しの鈍化について、「新興市場における意図的なプロダクト最適化と摩擦」を要因として挙げ、先進国市場での成長は安定していると説明した。
決算発表当日、Spotifyの株価は3.4%下落し、約469.80ドルで取引を終えた。一部の報道では、時間外取引で最大5.6%下落したとされる。この売りは主に、EPSの未達と、MAUおよび営業利益に関する軟調なQ3見通しに起因している。アナリストは、加入者数の節目達成はポジティブなシグナルだが、今回のガイダンスは、特に北米や欧州といった成熟市場での成長持続性に対する根強い懸念を浮き彫りにしたと指摘する。
SpotifyはAI機能に多額の投資を行っており、そのコストが損益計算書に影響を与え始めている。
2026年7月14日、Spotifyは会話型AIアシスタント 「Talk to Spotify」 のベータ版を、米国、アイルランド、スウェーデンの18歳以上のプレミアム会員向けに提供開始した。この機能は、モバイルアプリのホーム画面や再生中画面にChatGPTライクなチャットボットを配置するもの。ユーザーはタイピングや音声で自然言語のリクエストを送信し、プレイリストの作成、楽曲に関する質問、視聴履歴の検索、再生操作などが行える。Spotifyは、自社技術と外部の言語モデルを組み合わせてパーソナライズされた結果を提供すると述べている。
また同社は、AIリミックスツールの勢いが強いと強調し、AI生成のパーソナルポッドキャストやその他のパーソナライズ機能を実験していることも明らかにした。経営陣はこれらのAI投資は「当社のコントロール下にある」としつつも、短期的な収益性を圧迫する要因になると認めている。
2026年5月の投資家向け説明会で、Spotifyはチケットマスターをプラットフォームとするライブ・ネーションとの複数年にわたるパートナーシップ 「Reserved by Spotify」 を発表した。このプログラムは、対象となるプレミアム会員のストリーミング習慣(再生回数、保存、共有、リスナーの所在地など)を分析し、「スーパーファン」を自動的に特定。トップアーティストの公演プレセール用に最大2枚のチケットを自動的に確保する。
このプログラムは2026年6月18日に米国で開始され、インディーポップアーティストのRole Modelが最初の参加アーティストとなった。対象となったファンには、チケットが確保された旨の通知が届き、一般販売開始前に専用の購入期間が設けられる。Spotifyは今後、プログラムを他のプロモーターや市場へと拡大する方針を示している。
第2四半期の粗利益率は過去最高の33.4%に達したものの、同社はAI機能関連のコスト上昇が第3四半期の利益率ガイダンスの重しになると警告した。営業費用は前年同期比3%増の9億4100万ユーロとなった。第3四半期の粗利益率ガイダンスは32.9%と、第2四半期の記録的水準を下回り、新たなAI投資のコストを反映している。同社は、年度半ばに集中した大型マーケティングとAI投資サイクルを乗り越え、2026年第4四半期には営業費用の伸びが落ち着くと予想している。
第2四半期決算発表に伴う株価下落があったものの、Spotifyの株価は決算発表前まで堅調に推移しており、年初来の上昇分は決算発表後の下落によって目減りした。株価は過去12ヶ月間で大幅に上昇しているが、今回の第3四半期ガイダンスは、成熟市場での成長持続性に対する投資家の根強い懐疑論を再燃させた。MAU予想の弱さは、新興市場における意図的な摩擦と、先進国市場における飽和の兆候の両方を反映している。
ロイター通信は、北米と欧州でのユーザー成長が鈍化しており、第2四半期の利益未達は中核市場での減速を反映していると報じた。投資家は、SpotifyのAI機能や「Reserved」チケットプログラムが、向こう数四半期のARPU(ユーザー1人あたりの平均収入)向上とエンゲージメント深化につながるかどうかを注視していくだろう。