しかしこの生産の急拡大は、極めて脆弱な基盤の上に成り立っている。工場の生産増加の主因は、受注残(バックログ)の処理によるものであり、新規受注の本格的な回復に裏打ちされたものではない 。新規受注は依然として弱含みで推移しており、既存の受注残をさばき終えた後、この生産拡大が持続できるかどうかは極めて不透明だ 。
ユーロ圏内の動きは一枚岩ではない。ドイツは製造業が数年来で最も力強い拡大を見せ、ユーロ圏全体の上昇を牽引した 。一方、フランスは再び縮小局面に逆戻りし、両国間の格差が一段と鮮明になった 。イタリアも新規受注の停滞により拡大ペースが鈍化しており、ユーロ圏主要3カ国でも状況はまちまちだ 。
2026年2月末に始まった中東紛争(イランと米国・イスラエルの軍事衝突、ホルムズ海峡の封鎖)は、ユーロ圏の製造業回復に重い影を落としている。
ECBは7月23日の理事会で金利を据え置くことを決定した。エネルギー価格の見通しは依然として「極めて不安定」であり、その変動が金融政策の判断を複雑にしている 。しかし、ロイターの調査(74人のエコノミスト対象、7月13~16日実施)によれば、大多数が2026年9月の追加利上げ(0.25%)を予想している 。これは中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の再高騰が主因だ。
PMIデータが示すように、今回の生産拡大が新規受注ではなく受注残の消化に依存している以上、また中東紛争がコスト上昇と供給混乱を引き続き引き起こしている以上、ユーロ圏製造業の回復が持続可能かどうかは極めて不透明と言わざるを得ない 。