直接の引き金は利益確定売りです。前週末、サムスンは27〜28%高、SKハイニックスは値幅制限の30%高に達したため、投資家が一斉に利確に動きました。アナリストはこの動きを「過熱した反発の修正」と表現し、新たなファンダメンタルズの悪化ではないと分析しています。
単なる利益確定売りにとどまらず、ここ数週間、メモリーおよびAI関連半導体銘柄には複数の構造的な逆風が吹き荒れています。
投資家の間では、AIインフラへの巨額の設備投資(キャペックス)が期待に見合うリターンを生むのかという疑問が強まっています。ブルームバーグは「半導体株の一方通行相場がほどけつつある」と報じ、"AI支出のバラマキが続かない"との懸念が広がっていると指摘しています。
中国国営企業が液浸型DUV(深紫外線)リソグラフィ装置の量産を開始したとの報道が、中国の先端半導体製造能力の向上に対する警戒感を一気に高めました。
ゴールドマン・サックスによると、韓国では株式購入のために借入れをした個人投資家のうち120万人超が追証(追加保証金の差し入れ要求)を受けました。これにより強制売却が発生し、下落に拍車がかかりました。
7月にはKiwoom証券がサムスン電子の目標株価を引き下げ、下半期のメモリー価格上昇ペースが鈍化すると予想しています。フィラデルフィア半導体指数(SOX)は2週間で11%超下落し、メモリー特化型ETFのDRAMは6月高値から約25%下落しました。
韓国発の混乱は欧米市場にも波及。SOX指数は7月のある一日で6%も下落し、ナスダック100は最高値から9.7%下落。米国のメモリー関連銘柄(マイクロン、シーゲイト、サンディスク、ウエスタンデジタル)も軒並み急落しました。
「半導体セクターにはまだ強気派が多すぎる」との見方があります。7月17日のノートでは、売りが続けば強気派の投降(キャピュレーション)が起こり、損失がさらに拡大する可能性が指摘されました。また、AI関連の勝ち組からの資金シフトは構造的なものとみられ、資金は「シャベルを売る側」(半導体メーカー)から「金を掘る側」(AIアプリケーション企業)へ移行しているとの分析もあります。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のアナリストは、この下落を「夏のリセットであり、根本的な反転ではない」と評価。半導体セクターは歴史的に第3四半期にアンダーパフォームする傾向があるとしつつ、AIのスーパーサイクルは依然として健在と主張しています。ロイターも8月3日、グローバル投資家は「KOSPIの主力銘柄への信頼を維持しており、今回の混乱はファンダメンタルではなくテクニカルなもの」と報じています。韓国株の空売り残高は減少し、前週末の外国人買いは記録的な水準に達しており、大口機関投資家が下落を買い機会と捉えている可能性を示唆しています。
両者の対立の核心は、**AI関連の設備投資サイクルがピークを打ったのか(弱気説)、それとも次のフェーズに移行しているのか(強気説)**という点にあります。KOSPIは年初来では依然として大きな上昇を維持しており、この議論は当面決着しそうにありません。