太陽光発電の導入スピードは驚異的だ。最初の1TWに達するまでに20年以上を要したが、2TW目は約3年、3TW目は2年足らずで到達した。太陽光は今や世界の総発電量の約9%を供給する。
ただし、成長率そのものは鈍化している。2025年の前年比成長率は12%で、2023年の85%から急減した。
中国は世界の風力・太陽光導入量で他国を大きく引き離す。しかし、発電所と需要地の間に深刻なミスマッチが生じている。北部・西部の大規模太陽光基地で作られた電力を東部の都市部に届ける送電線が追いつかず、出力抑制(カーテイルメント)率は青海省や新疆ウイグル自治区で10~17%に達する。2026年初頭の全国平均の出力抑制率は太陽光で9.2%、風力で8.5%に急上昇した。
このボトルネックは新規建設の足かせとなっている。2026年3月の太陽光新規導入は前年同月比56%減、4月には79%減と急落。2026年の中国の太陽光市場は2019年以来初の年間縮小が見込まれている。送電網運営会社は2026年第1四半期に1675億元(約245億ドル)を送電網増強に投じたものの、硬直的な電力市場ルールや石炭火力優先の運用が障害となっている。カーボンブリーフの分析によれば、この非効率のため中国の二酸化炭素排出量は2026年初頭に2%増加した。
中国の大規模太陽光が減速する一方、新興国では屋根置き太陽光が電力市場を塗り替えている。
パキスタン:太陽光発電量が世界平均の3倍超に達し、一部の主要工業地域では昼間の屋根置き太陽光出力が系統需要を上回る見通し。2026年初頭までに、石油・ガス輸入を120億ドル以上回避した。
フィリピン:2026年、世界で最も急成長する太陽光市場に。電気代高騰と停電頻発を背景に、屋根置き太陽光容量は2025年初頭の721MWから2026年初頭には約1300MWに倍増。住宅用の投資回収期間はわずか3年に短縮。中国から2026年3~4月だけで3000MW以上の太陽光パネルを輸入した。
ナイジェリア:2025年のアフリカの太陽光導入は前年比54%増。南アフリカ(1.6GW)、ナイジェリア(803MW)が牽引。太陽光導入量1GW以上の国は2020年の42カ国から74カ国に増加した。
太陽光の急増は「昼間の電力だぶつき」現象を深刻化させている。中国では150以上の地域が送電網の受入限界に達し「レッドゾーン」に指定された。
この問題を解決する鍵は蓄電池だ。昼間の太陽光の余剰を蓄え、夕方のピーク時に放電することで、電力の無駄を減らし、石炭火力の代替を進められる。しかし蓄電池の導入が遅れれば、新設する太陽光発電の価値は急速に低下する。
SolarPower Europeは、2026年の世界の新規導入量が前年比8%減の612GWになると予測する。これは主に中国の市場再編に起因する。世界の太陽光は「パネルをどれだけ作れるか」から「作った電気をいかに有効活用するか」という、送電網と蓄電池の統合課題に突入したのだ。