特筆すべきは、これまで国防総省がほぼ軍事・防衛関連機関に限定してきた対象を、初めて中国トップクラスの一般大学にまで拡大した点です。これは米国の研究安全保障政策における明らかな政策転換を示しています。
従来のリストが軍事研究との直接的なつながりを持つ機関を中心に指定していたのに対し、今回の2025会計年度版リストは「問題のある活動(problematic activities)」に関与しているとして、包括的な一般大学を新たに名指ししました。国防総省は、これらの機関が「米政府資金による研究開発が敵対国の軍事用途に流用される可能性を高める活動」を行っていると認定しています。
2026会計年度(2025年10月開始)より、国防総省(War Department)は、第1286条リストに掲載されたいかなる機関との協力関係を含む基礎研究に対して、資金の拠出または支出を全面的に禁止します。この禁止は以下のように広範囲に及びます。
専門家らは、今回の拡大が「二国間の学術関係をさらに損ない、米国の研究とイノベーションに多大なコストをもたらす可能性がある」と指摘します。復旦大学や上海交通大学のような一般大学を対象に含めたことは、ワシントンが中国の民間研究エコシステム全体を、国家が後押しする知的財産の流用や意図しない技術移転の経路と見なしていることの表れです。
第1286条リストは、国防総省の資金による研究に対する「望ましくない外国の影響を打ち消す」ために設計されており、中国、ロシア、イランによる軍事転用を防ぐという名目のもと、米中の技術競争と科学技術分野での戦略的デカップリング(分離)を一層加速させる動きといえます。現在、リスト上の130機関のうち約70%が中国拠点で、残りはロシアとイランです。