ロイター通信は7月30日、サウジアラビアと地域パートナーの情報評価として、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が今週、イラク領内からイラク武装勢力と連携してサウジを攻撃したと独占報道した。これは、これまでの政治的連帯から、軍事・兵站・情報活動を含む本格的な作戦パートナーシップへの移行を示す画期的な事例だ。
さらに、複数の情報筋によれば、フーシ派はイラク国内に技術顧問チームを常駐させており、現地の武装勢力が巡航ミサイルを発射するための支援を行っている。この活動はイスラム革命防衛隊(IRGC)の監督下で行われており、「抵抗の枢軸」全体の戦術的統合がかつてないレベルに達していることを示している。
要注目ポイント:3月以降、湾岸6カ国(サウジ、UAE、クウェート、カタール、バーレーン、ヨルダン)はイラク政府に対し、自国領土を拠点とするイラン系武装勢力による越境攻撃を止めるよう繰り返し要請してきたが、事態は悪化の一途をたどっている。
7月28~29日、アメリカ中央軍(CENTCOM)とサウジアラビア軍は、イラク東部でイラン支援武装勢力に対する「精密爆撃」を共同で実施した。空爆の標的は、IRGCの指示で米軍やサウジのエネルギー施設に対する無人機攻撃を行っていた武装勢力の兵站・武器庫とされ、少なくともイラクの民兵組織「人民動員隊(PMF)」の戦闘員20人以上が死亡、32人が負傷した。
米軍は、過去72時間にIRGCが指示した30回以上の無人機攻撃への対応だと説明。サウジ国防省も「最近の無人機攻撃への報復」と声明を発表した。これは、これまでの米イラン戦争の中で、ワシントンとリヤドがイラク国内の親イラン武装勢力に対する共同軍事作戦を公式に認めた初めてのケースとなり、緊張を一段と高めた。
イラクのアリ・アル=ザイディ首相は緊急の国家安全保障会議を招集し、バグダッドは米サウジ連合軍の空爆を「イラクの主権と領土の神聖さに対する明白な侵害」と強く非難。さらに「重大な誤算(major miscalculation)」であると警告した。イラク国内の武装勢力も「危険なエスカレーション」と声明を発表している。
この動きを受けて、イランのIRGCは7月29日、ヨルダン国内にある米軍基地——ムワッファク・サルティ空軍基地と米中央司令部——に対して弾道ミサイルを発射した。IRGCはこれを「米サウジ連合軍によるイラク空爆への報復」と位置づけ、戦火はイラク、ヨルダン、イエメン、サウジをまたぐ広域戦へと変貌しつつある。
7月30日、サウジアラビアは紅海とバブ・エル・マンデブ海峡、アデン湾における航路保護を目的とした「多国籍海洋防衛同盟(Multinational Maritime Defense Alliance)」の設立を正式に発表した。サウジ国防省は、約43~50カ国の軍事代表者と協議し、自国が創設メンバー兼主導国となり、本部をリヤドに置く意向を示した。
7月31日時点で、パキスタン、トルコ、エジプト、ヨルダン、ジブチなど14カ国が創設声明に署名。クウェート、バーレーン、カタール、スーダン、バングラデシュ、ナイジェリア、ソマリアも支持を表明している。
この海洋連合構想は、フーシ派が7月20日にサウジに対する「海上封鎖」を宣言し、紅海を通るサウジの石油輸出ルートを脅かしたことへの直接的な対抗措置である。フーシ派の指導者アブドゥルマリク・アル=フーシは、海洋連合発表の数時間前に「全面エスカレーション」を宣言しており、両者の対立は先鋭化している。
地域の専門家や各国当局者は、この紛争が「より広範な戦争」へと拡大するリスクを警告している。サウジアラビアは現在、①イラン本土、②イラク国内の親イラン民兵、③イエメンのフーシ派という三つの正面から脅威にさらされており、極めて困難な安全保障環境に置かれている。
特に、フーシ派とイラク民兵の統合がIRGCの監督下で進んでいることは、地域安定にとって深刻な要因である。また、イラク政府は自国の主権が踏みにじられた形となり、米国・サウジとの関係を悪化させる恐れがある。
なお、イラクのPMFは法的には正規の治安部隊として認められている側面があり、今回の空爆はイラク国内で強い反発を招き、結果的に親イラン勢力の結束を強める逆効果を生む可能性も指摘されている。
現時点での最大の焦点:サウジ主導の海洋連合が実効性を持ち、紅海の安全を確保できるかどうか。そして、米国とサウジによるイラク空爆が新たな報復の連鎖を生まず、外交的な停戦の糸口が見えるかどうか——地域全体の運命がこの数週間の動きにかかっている。