ポーランドのドナルド・トゥスク首相は記者会見で、「すべての兆候がロシアのKh-101巡航ミサイルを示している」と述べ、弾頭が搭載されていた可能性が高いと指摘しました。また、チェザリ・トムチク国防副大臣は「全責任を持って確認できる。これはロシア製のKh-101巡航ミサイルであり、核弾頭を搭載可能なものだ」と明言しました。ウクライナのアンドリー・シビハ外相はこの事件を「恐ろしい現実」と表現し、NATO加盟国の領空にロシアの巡航ミサイルが侵入したことを確認。「同盟国は防空態勢を強化すべきだ」と訴えました。
今回の対応は、2022年11月のプシェヴォドゥフ事件(ウクライナ防空ミサイルがポーランド領内に着弾)とは対照的です。前回はミサイルの帰属を巡り外交的な火種となりましたが、今回はポーランドとウクライナの双方が即座に、かつ明確にロシアの関与を特定し、責任の所在に曖昧さはありませんでした。
トゥスク首相は今回のミサイル墜落について「ポーランド防空にとって厳しい夜だった」と振り返り、政府としてウクライナへのパトリット迎撃ミサイル追加供与を迅速に検討する方針を表明しました。その上で、「ウクライナの防空力を強化することは、ロシアのミサイルがポーランド領内に迷走するリスクを減らすことにつながる」と説明し、この決定を「ポーランドの国家安全保障の問題」と位置づけました。
今回の発言は、2026年7月上旬にポーランドがすでにPAC-3 MSE迎撃ミサイル5基を NATOとアメリカの要請を受けてウクライナに供与した直後に行われました。
ウクライナ政府はポーランドに対し、ミサイルの機種特定と墜落状況の分析を目的とした専門家の派遣を申し出て、即座に受け入れられました。7月30日時点で、ウクライナ人ミサイル専門家がすでにポーランドに到着し、捜査に参加していることが確認されています。
このミサイル墜落事件は、トゥスク首相とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がルブリンで会談(7月29日)した翌日に発生しました。会談では、ゼレンスキー大統領の訪米成果の報告に加え、防衛協力(特に弾道ミサイル防衛)や歴史的対話、ポーランド国内のウクライナ難民の状況などが話し合われました。両首脳は会談で「ロシアのミサイルがポーランド領内に落下するリスク」についても認識を共有しており、その懸念がわずか24時間後に現実のものとなりました。この緊迫したタイミングが、トゥスク首相にパトリオットミサイル追加供与の検討を促す決定的な後押しとなったとみられます。