今回の攻撃は、カザフスタンの原油輸出の生命線にとって壊滅的な7月の掉尾を飾るものとなった。CPCターミナルはカザフスタンの海上原油輸出の約80%、世界の原油供給量の1%超を取り扱う重要拠点である。累積的な混乱により、カザフスタンは7月23日までに生産量を大幅に削減せざるを得なくなった。シェブロンが主導する同国最大のテンギス油田では、生産量が半減し、日量約40万バレルにまで落ち込んだと、2人の業界関係者が明らかにした。カザフスタンエネルギー省は、輸出のボトルネックであるターミナルがCPCによる新規受け入れを停止したため貯蔵タンクが満杯になり、石油各社が日々の生産量を調整せざるを得なかったと認めている。
7月30日の攻撃は決して孤立した事件ではない。積み出しは7月19日、タンカー「アジア」と「ニソス・イオス」が積み込み中に無人機攻撃を受けて最初に停止した。その後一時的に再開されたものの、7月20日にはタンカー「ネルサ」がシングルポイント係留施設1番で積み込み中に攻撃され、再び停止を余儀なくされた。積み出しは7月27日頃に再開されたが、7月30日の攻撃で再び閉鎖された。7月中、ウクライナの無人機はCPC関連のタンカー少なくとも6隻を攻撃しており、その中には7月8日に攻撃されたシェブロン傘下のタンカーも含まれている。
カザフスタンは攻撃を非難し、「世界のエネルギー安全保障とCPC加盟国の経済的利益を損なうものだ」と抗議した。
ウクライナの無人機攻撃は、カザフスタンのみならず米国の経済利益にも直接的な打撃を与えた。CPCターミナルはシェブロンやエクソンモービルなどの米系メジャーが大規模投資を行うテンギズ油田などからの原油を積み出す主要ルートだからだ。
7月中旬、シェブロン傘下のタンカーへの攻撃を受けて、米国はウクライナに対して異例の外交措置を取った。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によれば、米国務省はキーウに対し、黒海でロシアに関係のない船舶への攻撃を控えるよう求める正式な外交文書(デマルシュ)を送付した。米政府高官は、同ルートを「国際市場への重要な供給ルート」と位置づけ、攻撃は容認できないとの立場を伝えたという。
米下院議員ビル・ハイゼンガもこれに同調し、「CPCターミナルへのこれ以上の攻撃は容認しない」と警告。ウクライナに対して「正当な同盟国のエネルギー輸出やインフラを攻撃対象から外す義務がある」と述べ、支援の規模とウクライナの行動を結びつけた。
生産削減はカザフスタン経済に深刻な影響を及ぼしている。テンギス油田の生産量は通常日量約80万バレルだが、7月23日時点でその半分以下にまで減少。業界関係者は「貯蔵タンクが満杯で、これ以上パイプラインに送油できない」と説明した。カザフスタン政府はこれを「純粋に技術的な判断」と説明しているが、事態の長期化は同国経済の根幹を揺るがしかねない。