しかも、この赤字はGalaxy S26シリーズやGalaxy Aシリーズの好調な販売によって売上高は33.2兆ウォンと前年同期比で増加している中で発生した点が衝撃的だ 。家電などを含むDX(Device eXperience)セクター全体では、売上高48兆ウォンに対し営業赤字8000億ウォンとなった 。
この異例の事態の根源は、アナリストやメディアが「RAMageddon」あるいは「チップフレーション」と名付けた現象にある。すなわち、AIサーバー向けの需要が爆発的に拡大したことで、DRAMとNANDフラッシュメモリの価格が高騰したのだ 。
AIデータセンターは膨大な量のHBM(高帯域メモリ)やサーバー用DRAMを消費するため、世界のメモリ供給が劇的に逼迫した。サムスンの半導体部門(DS:Device Solutions)は、自社の携帯電話部門に有利な価格でメモリを供給するよりも、はるかに利益率の高いAIメモリ顧客への出荷を優先した 。
具体的には、800ドルのスマートフォンの場合、メモリ部品の原価比率が2倍以上に跳ね上がったと報告されている 。皮肉なことに、サムスンの半導体部門は第2四半期に89.2兆ウォンの記録的な営業利益を上げた(前年同期比250倍増)。これは、半導体部門が自社のモバイル部門にも市場価格でメモリを販売した結果でもある 。メモリの契約価格は過去最高値を更新し、業界全体の利益率を圧迫したが、自社製の高価なメモリを大量に消費するサムスンが特に大きな打撃を受けた 。
サムスン全体の営業利益は前年同期比で約19倍に急増し、過去最高を記録した。半導体部門が過去最高益を叩き出す一方、スマホ部門が過去最悪の赤字を記録するという、同社史上最も極端な内部格差が生まれた 。
| 指標 | 2026年第2四半期の数値 |
|---|---|
| サムスン全体の四半期売上高 | 約171兆ウォン |
| サムスン全体の営業利益 | 89.4~89.5兆ウォン(過去最高) |
| DS(半導体)部門の営業利益 | 89.2兆ウォン |
| MX・ネットワーク部門の営業赤字 | 7000~8000億ウォン |
| MX・ネットワーク部門の売上高 | 33.2兆ウォン |
サムスンのスマートフォン事業は、2010年の初代Galaxy S発売以来、四半期ベースでの赤字を一度も記録したことがなかった。2014~2015年の中国メーカーへのシェア流出、2016年のGalaxy Note 7発火・リコール騒動、2020~2021年のパンデミックによるサプライチェーン混乱といった過去のあらゆる危機を、赤字に陥ることなく乗り越えてきた 。
その10年以上続いた「不敗神話」は、2026年第2四半期に終止符が打たれた。しかも、製品の販売不振ではなく、半導体事業の繁栄が引き起こした内部コストの爆発的な増加が原因である点が、これまでの危機とは根本的に異なる 。
スマートフォン業界全体が、構造的な利益率の圧迫に直面している。
MX部門のトップである盧泰文(ノ・テムン/TM Roh)社長に対する内外からの批判が高まっている 。
グループ系証券のサムスン証券など各社の分析によると、事態はさらに深刻化する見通しである 。
かつてサムスンの主たる収益源だったスマートフォン事業は、今やAIブームの「巻き添え」によって前例のない赤字の深みに直面している。